和名は紫水晶。
色合いは濃淡の紫色または青紫色、赤紫色で、色の濃さが各部で違う色ムラが多いのも特徴です。
最も理想的な色合いは、ディープ・シベリアンと呼ばれ、紫の割合が75~80%、残りが青で構成されたものです。
【産地】
ウルグアイ、ブラジル、インド、南アフリカ、メキシコ、ロシア、アメリカ、ジンバブエ、マダガスカルなどです。
ギリシャ神話では、ブドウ酒と酩酒の神バッカスが全能の神ゼウスに酒乱を咎められ、その八つ当たりで少女を虎の餌食にしようとしたとき、月の女神アルテミスが少女を透明な石へと化身させ救いました。
バッカスが自らの非を恥じ、葡萄酒をその石に注ぐと、たちまち美しい紫色に染まったといわれています。
また、アメシストの器を持つものにはお酒に酔わせない力を与えたと言い伝えられています。「酒に酔わない」という意味のギリシャ語"amethytos"に由来しているといわれています。
キリスト教では司教の石といわれ、純潔や清純さを象徴すると考えており指輪として、仏教の僧侶は数珠にして身につけています。
紀元1世紀頃に活躍したローマの博物学者・大プリニウスは、犬の毛にアメシストを付けて首に巻きつけておくと、蛇よけになると記しています。
中世ドイツのベネディクト会系女子修道院長・ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、虫刺されに効果があり、また肌を美しくすると述べています。
西洋ではほかにもさまざまな効能が伝えられてきた。
総じていうと、荒れた事態を沈静させたり、感情を落ち着かせ、頭脳を明晰にする性質があります。
中世には愛の石でもあった。
愛する人への贈り物に用いられ、悪い考えを退け、しみ・ソバカスをなくし、時にはやけどや神経症、体の失調や健忘症、老化を防ぐ効果があると言われました。