指輪の向こう側


最初の打ち合せで、確認をする事項のひとつに「指輪のコンセプト」があります。

 

ホームページの中でも、“コンセプト”という文字は、頻繁に目にされるかと思います。

 

「自分(たち)で手作りするのに、指輪のコンセプトは必要なんですか?」と心の中では思うかもしれません。

 

「コンセプトなんて出てこないよ。」

 

「なんで、コンセプトなんか考えるの?」

 

「別に、コンセプトなんかいらないよ。」

 

など、コンセプトを軽視している意見も多いのも現実です。

 

でも、冷静に考えてみても、行動には目的があるはずです。

 

そして、行動する前には自分の意思があるはずです。

 

これは、手作り指輪に限らず、すべてのことに共通していることです。

 

【ふたりで手作りすることで、自分たちの想いが指輪に込められる。】

 

確かに、そのとおりです。

 

【作る作業で、二人の距離を縮めてくれる。】

 

確かに、そのとおりです。

 

それでも、自分(たち)で手作りするのに、指輪のコンセプトは必要なんですか?

 

「コンセプトがあることで、指輪の向こう側にあるものを見ることができます。それを見てみたいと思いませんか?」

自分の価値を下げる

コンセプトとは、日本語で基本的な概念のことです。

 

概念の他には、思想、発想、理念と言うこともできます。

 

つまり、自分の手作り指輪は、自分の思想もしくは自分の理念を形にしたものです。

 

「指輪のおおよその金額を知りたいです。」

 

「ペアでいくらですか?」

 

など、価格だけの問い合わせをする方も少なくありません。

 

その理由は、一部で“既製品の結婚指輪よりもリーズナブルで指輪を作ることができる”とか、“手作りすれば価格を抑えることができる”との情報を流しているところがあるからです。

 

また、こういう情報は、露出する機会が高いし、金欲を刺激するので、人々の記憶に残りやすい。

 

それが、悪いということではありません。

 

それが、自分の価値を下げる行為になっているのが悪いのです。

 

とくに、ものを作るという世界においては。

連鎖と循環

ものを作る世界では、自分の価値を上げる行為が正しいことだと考えています。

 

そこに、新しい価値が生まれるのです。

 

「人は創造する才能をもって生まれてきた。」

 

人生でその才能を使えるのに、存分に活用しないのは、本当に勿体無いことです。

 

しかし、現代において、自分が創造するできる機会や場所は、とても少なく難しいと感じています。

 

もし、今が苦しいという気持ちが強いなら、自分で創造することができなくなっているかもしれません。

 

また、自分の人生を充実させるために、自分で創造することは大きな心の支えになると思います。

 

最初に、コンセプトを軽視しているとお伝えしましたが、コンセプトの目的は、自分で創造をするためのきっかけづくりなのです。

 

そして、コンセプトから連鎖が始まり、物事が流れ、指輪を身につけることで、循環していくのです。

コンセプトは必ずある

「自分(たち)のコンセプトが見つからない場合、どうしたらいいですか?」

 

過去にこの質問を受けたことがありますが、コンセプトは誰にでも最初からあります。

 

本人が見えていないだけで、心の内側にはあるのです。

 

ただし、自分の心と向き合わないと、見ることはできません。

 

コンセプトには、正解も不正解もありませんし、他人と比べて評価するものでもありません。

 

その人のコンセプトである場合、その確信を疑うことなく、実感ができ、心が踊るものです。

 

そして、周囲まで影響を与えます。

 

もちろん、私も影響され、心が踊ります。

 

「それでも、自分(たち)のコンセプトが見つからない場合、どうしたらいいですか?」

自分の心と向き合い続けることは、自分の創造を邪魔している不純物を取り除く行為と同じです。

 

続けることも、やめることも、最終的に決めるのは本人次第。

 

コンセプトと聞くと、難しいと先入観を抱くかもしれませんが、そんなに気負いする必要はありません。

 

自分らしく、想いが純粋であること。自然体であること。

 

これが、重要なのです。

想いは宿る

日本では、モノに魂が宿ると伝わっていますが、本当だと思います。

 

手作り指輪も同じことで、その人の想いを指輪に込めることができるのです。

 

作業をする上で、1番大切なことは、心の状態です。

 

心の状態の気力が、指輪というカタチに成ると言っても過言ではありません。

 

指輪を眺める度に、自分の価値を思い出すことになるでしょう。

 

指輪の話をする度に、自分の想いを思い出すことになるでしょう。

 

コンセプトから連鎖が始まれば、物事が流れ、指輪を身につけることで、“永遠に”循環していくのです。

 

自分のコンセプトがあるとないでは、全く違う結果になるのです。