二人で語る指輪物語

手作り指輪物語


物語には、必ず「はじまり」があり、「おわり」があります。

では、自分で作る婚約指輪や自分たちで作る結婚指輪の「はじまり」と「おわり」とは何でしょうか?

主役は指輪を身につける自分

なぜ、「はじまり」と「おわり」を最初にお話をしたかというと、物語の最大の見せ場や面白さは、はじまりとおわりの「間(中間部)」にあるからです。

ですから、「はじまり」から「おわり」までの間に、ふたりがどんな過程を経て進んでいくのか、どんなデザインが出てきて、どんな事が制作の時に起こるのか、その過程は誰が聞いても魅力的で素敵な物語なのです。

 

手作り指輪の物語には、この「間」の部分にどれだけのふたりの心情・行動があるかは、とってもとっても大切なのことなのです。

つまり、「自分たちの望む結果・目的を見失わないようにするため」です。

 

これが、物語(指輪)作りのコンセプトになる部分です。

力を合わせれば、困難は解決できる

さて、指輪作りにコンセプトが必要なのは理解していただけたと思います。

 

しかし、「自分(たち)のコンセプトってなんだろう???」

 

答えらないことは、仕方のないことです。なぜなら、指輪選びには全く違う視点から考えていたからです。

つまり、それまでは外からの情報に意識を向けていたところに、逆に自分の内側に意識を向けることになったからです。

 

もともと、ジュエリーといっても、ピンとくる男性、もちろん女性は少ないと思います。

しかし、結婚となれば、指輪は必要だと考えますから、その時になって、初めてジュエリーとの接点ができます。

つまり、おのずと外からの情報に頼らざる得ない状況なのです。

リングプランナーとしては、一生大切にしたい指輪に巡り合え、一生身につけてもらえるなら、何を選択しても正しい選択と考えています。

 

話は戻りますが、自分(たち)のコンセプトのメリットについて、簡単に説明します。

 

本来、私たち人間は個ですから、「違い」を持っています。ただし、ここで強調したいのは「違い」は「間違い」ではないということです。

ひとり、ひとりに別々の良いところがあります。また、別々の弱点や欠点を持っています。さらに様々な独自の個性があります。

わたしたちは、教育過程の段階から完璧さを求めがちになります。それは、社会にでても同じことを求めます。

その結果、本来は互いが互いの足らないところを補完しあいながら助け合って生活をしてくことを失いつつあります。

 

自分の事を大切にすることを否定はしません。それは人間は誰でも欲をもっていて、それを満たそうと行動しています。

しかし、本来誰もが助け合いの精神を兼ね備えています。そのためには、まず自分の内側と向き合う時間が必要となります。

コンセプトをつくるメリットとは、お互いの違いを認め合い、良好な人間関係を結び、新たな人生を共に経験し、互いが成長し合っていくためのふたりの根底にある大切にしているものを一緒に確認する作業なのです。

手作りは想いの大きさとイコール

人間の特性として、「怖いものみたさ」という言葉の通り、正体がわからないものに興味を抱きます。

ただ、店があるということは僅かながら安心と信頼はあるのです。

 

目に見えないものを選択する人は、「自分で手作りするとは何なのかを確かめにいく」のです。

普通に考えれば、手先が器用だったり、物を作るのが好きだったりなど、指輪の制作は初めてだけど、多分大丈夫だろうと思う人が来ると想像するとおもいますが、中には、自称手先が不器用という人や、小学校の頃図工が苦手でしたという人もいます。

 

不器用だし、ものづくりが苦手なのに、わざわざ手作りを選ぶのは一体どうしてでしょうか?

 

目に見えないものは、商品だけではありません。

例えば、「正義」とか「善」とか「優しさ」とか「誠実さ」だったり、「思いやる心」「助け合うこと」「がんばること」「くじけないこと」「あき らめないこと」などの人の道、人間として大切な気持ちがあります。

 

つまり、手作りを選択する人は、自分の想いをしっかり表現して伝えたいという人なのです。

行動してその正体を確かめようとする人は、怖さよりも自分の想いが強いから、「正体を知って安心しようとして」確かめに行くのです。

そして、「自分の想いを伝える指輪は、手作りしかない」ということがわかると、人は安心するのです。

 

「目に見えないもの」に商品の価値を見出すことに気づいてもらいと、『手作りは物語』を書いています。

なぜなら、手作りされた方の多くが、指輪を手にして人生に感動と喜びを増やしている事実があるからです。

失敗するのが怖い

指輪は安い買い物ではありませんから、安心、信頼はとても大切なポイントです。

当たり前の話ですが、誰でも失敗するのは嫌ですよね。自分もすっごい嫌です笑


しかし、「ピンチは最大のチャンス」と言いますが、確かに同感する部分はあります。今、お読みいただいている方の中にも経験されたことがある人は多いのではないでしょうか。簡単に手に入るよりも、苦労して手に入れたものの方が、より大事にします。

 

人は、なぜ失敗が怖いのか?

それは、その後の悪い結果がわからないからです。しかし、不安があると失敗した結果を自分でイメージしてしまうのです。

一生に一度の大切な婚約指輪や結婚指輪を選ぶのに、目の見えないものは不安です。

最初から、目に見えるもの、試着できるものは、商品としての価値も安心、信頼ができますよね。

 

それでも、目の見えないものを選択する人は一体何を考えているのでしょうか?

プラスイメージの自分で手作りする

婚約指輪にしても、結婚指輪にしても、選択の中で迷うことや悩むことはどうやっても避けることはできません。

稀に、指輪にこだわりないし、なんでもいいから好きなものを買おうという人はいますが、ほとんどの方が直面している問題です。

 

デザインの好き・嫌い、デザインとの指の相性、人気や流行のデザインなど

また、昔から憧れていたブランドものや、大好きなモチーフが入ったもの、人気のショップなど

素材や指輪の値段などなど

指輪1つ選ぶ作業は、楽しい時間でもあり、それ相応に労力も使います。

 

私たちは、商品に対してお金を払います。しかし、選択する段階では商品の価値を比較して検討します。

当たり前ですが、自分にとって価値があるものにしかお金は払いたくはありません。

それでは、どんなものが自分にとって価値があるものなのでしょうか?

 

先進国である日本では、物質文明であり,唯物論的価値観やペシミズムが浸透しています。つまり、「目に見えるもの」を好み価値を信じているのです。社会経済的繁栄によって、商品の価値とは損得勘定で判断される状況になっています。

 

世界の有名ブランドで認知度があるから。

雑誌やネットで広告されている店だから。

これだけ多くのカップルが購入しているから。

検索順位で上位に出るから。

キャンペーンや特典があるから。

などなど

 

気に入った指輪の候補を絞り、最後に選ぶポイントは自分にとって安心、信頼できること。

しかし、本当にそれが自分にとって最良の選択であるかはわかりません。

その場では、目に見えないものが、本当は自分にとって最良の選択である可能性があるのです。

手作りの喜びは体験だけではない

人には「感情移入」という力が備わっていることを知っていますか?

たとえば、悲しんでいる人がいたら、その人の身になって一緒に哀しみ、つらさや苦しさをわかろうとする。

あるいは、喜んでいる人がいたら、その人と一緒に、まるで自分のことのように喜ぶことができる。

 

つまり、感情移入とは「人の立場」になって考 え、「人の痛み」がわかる力です。

この感情移入の能力によって人は他者との円滑なコミュニケーションが出来るようになっています。

 

さらに、この感情移入の対象は人だけとは限りません。全てのものに対して同じことが言えます。

日本には、昔から作り手はもの作りに対して、信念を持っています。

そこには、作ったものには命が宿るという考えがあったからです。

 

日本では、今なお、代々継承され、いかなる時代においても、もの作りと向き合う姿勢を変わらずに貫いています。

良いものを作るには、作り手の想い(感情移入)があり、そこに良い素材を選び、良いものを作る過程が必要になります。

 

『変なこだわり・執着・先入観』は、考えの自由度を下げ視野を狭くします。

その基礎となるのが、外からの情報で脳に刷り込まれているものです。

 

指輪を手作りする場合には、『制限や制約』はありますが、自由な発想やアイデアを膨らました後で、方向性を整理していく段階においては、役立つものになります。

 

手作りの喜びは体験だけではない。

『手作りは物語』を考えるうえで、重要なことのひとつ

自分の想いの大きさに合うスケールの物語を創るということです。

 

スケールとは時間や期間にあたりますが、これは小説でも短編・長編があるように、どちらでも構いません。

要は、物語の基本的な構成は全く同じだからです。

 

何かを創り出すことの感動と喜び

手作りを選ぶ人は、ここを一番体験するべきだと思います。

どの仕事にしても、ここが一番苦労することかもしれませんが、そこから、生まれてくるものが楽しいのです。

 

創造するというと、自分独自のオリジナルを考えないといけないと、無理にオリジナルを探そうとします。そして、比較します。

そうではなくて、創造するということは、すでにある材料を新しいものに創り直すということです。

これが自分独自のオリジナルなのです。

 

『自分の中にある純粋な想いをみる』

 

自分で手作りをするということは、「誠意を尽くせば、想いが伝わる」

これをカタチにしたものです。

 

その想いは、自分の中にいつもあるということに、手作りのプランニングを通じて気づいてもらえれば、とても嬉しいことです。

意外な一面

ある調査では、この「友人関係が恋愛関係に変わるきっかけとは何か?」という質問に対して

最も多かった答えは、『その人の「意外な一面」が見えたとき』というものでした。

 

「〇〇と思っていたけれど、実は△△だった。」

△△に入るのは、自分にとって好感や共感に当たる部分ですね。

 

これは他の事にも同じことが言えると思うのです。

 

「意外な一面」の効果とは、その人がそれまでに抱いていた人物像からの想像と、現実の結果を比較したときの「差(落差)」です。

 

「〇〇と思っていたけれど、実は△△だった。」

ただ、〇〇に入るのは、マイナスのイメージや、相手にとって予想される確率の低いことや、相手が予想しなかったことです。

そして、△△に入るのは、プラスのイメージです。

 

マイナスやゼロからプラスに変わる時に、一番その人を魅力的に感じることができます。

人は「意外な真実」、「意外な展開」、「出来事の驚くような結果」にその「差(落差)」から好意を抱いてしまうのです。

これって、サプライズでもありますね。

 

人は、自分の予想や期待を裏切られると驚きと快感を感じるのです。

ですから、くれぐれもその真逆だけは、選択しないでくださいね(笑)

態度価値

態度価値とは、人間が人生において実現できる要素と言われています。

この態度価値とは何か?

自分に与えられた、置かれた状況や運命に対してどんな態度を取るのか。その態度によって実現できる価値です。

 

人は、順風満帆の時は誰でもいいことを考え、いいことを行います。順風満帆の時とは、自分が幸せである時です。

しかし、困難な状況や苦しみの状態の場面に立たされた時、つまり自分が辛いと思う時に、その人の本当の人物像・人間性を見ることができます。

 

「どのような想いがあるのか」

「どう考え、行動してどう感じたか」

理想は、幸せな状態でいることですが、辛さと幸せは交互にやってきます。

 

たとえば、

「はじめて出会ったところから交際が始まるまで」

「何か問題を二人で協力して解決して、お互いの良さがわかったこと」

「デート中にケンカして、お互いの大切さを再確認して仲直りした」

「問題を乗り越えながらプロポーズするまで」

「結婚式を挙げるまで」

このような エピソードは、誰もがひとつは経験されているのではないでしょうか?

 

その時の想い、どう考え、行動して、どう感じたか

その時のエピソードを思い返せば、そこには、ふたりが共有するものがあったと思います。

それは、変化も消滅もしないものなのですが、生活の中で見えなくなったり、見失うこともあるものなのです。

ふたりの心の絆を強める

どんなにその人がやさしくて、思いやりのある人だったとしても…

周りから見て仲の良い夫婦だったとしても…

一緒に暮していれば、相手との性格や意見の違いはあります。

 

お互い20年、30年と育った環境も異なる、別々の家で暮らしてきた人間同士が一緒になるのです。

当然ですが、生活していく中でいろいろな違いに気づいていくのは当たり前なのです。

その時に違和感を感じることもあります。

幾多のことが積み重なって、最悪の場合には、対立が起こることもあります。

 

その時、どうふたりで解消していくのか?

お互いの価値観をどう認め合って、一致団結(解決)していくのか?

 

家族になれば、恋愛関係ではなかった育児があります。

これは二人ともまったく人生で初めての経験です。

しかも子供を育てるというのは本当に難しいです。

子供ですから怪我も病気もするし、育児の方法によってお互いの両親と対立するなんていう出来事もあります。

 

いろいろな人間関係や環境の中で、自分の態度価値が必要となってきます。

自分だけでは解決できないことは、一緒に悩み、考え、最善と思われる結論を夫婦二人で導き出していく。

結果、夫婦の絆をますます強めることになっていくのです。

 

ふたりで手作りする理由

ふたりの共有する『もの』に気づき、その『もの』を結婚指輪というカタチにする。
共同作業というところも、とても良い効果を生みだしていると思います。

『夫婦の証であり、夫婦の絆であり、愛の証』

 だから、ふたりで作って欲しいし、願わくば、お互いの指輪を作り合って欲しい。

 

長い歴史の中で、世界中の人々の心の支えになっていた、結婚指輪の本来の意味が成就すると考えるのです。

今の時代のようにものが溢れていて、モノ自体の価値が失われてしまっていると思うから、懸念するのです。

 

人々が必要としてきたから、指輪の歴史は作られてきた。

指輪の歴史は、必要とされる人々がいたから作られたといっても過言ではない。

 

自分で手作りするということは、そこから始まる歴史を創るツールと相応しく

この先もずっと語り継がれるものだから、『手作りは物語』と言えるのです。