プレゼント
緋銅の作家活動をしたことで、気づいたことがあります。
それは、結婚7周年の銅婚式に、銅製品をお探しになられる方が多いこと。
また、結婚1周年から毎年、結婚記念日を大切にされている夫婦が多いこと。
ここでも、とても素敵な物語があります。
手作り指輪では、婚約前の男性や結婚直前のカップルが中心になるので、緋銅の活動は「ギフト」だと思っています。
前置きが長くなりましたが、銅婚式を祝うプレゼントには、大きく2つのパターンがあります。
1. 夫婦で、おふたりのものを探す
2. 旦那さん、もしくは奥さまが相手にプレゼントする
今回は、旦那さまから奥さまへ、結婚7周年のプレゼントされた緋銅ペンダントネックレスの物語です。
お問い合わせのメールを頂き、その後、メールで数回デザインの打ち合わせをする中で、素敵な新しい作品が誕生しました。
その時の内容の一部を、ご紹介したいと考えておりましたが、できなくなりました。
数日前、PCの買い替えをした際、これまで保存されていたメール履歴がすべて消えてしまったのです。
削除してはいけないファイルだとは知らず、気がついた時には完全に削除してました。
そのため、記憶を辿りながら物語を綴るので、若干フィクションの要素が含まれる場合もありますので、ご了承ください。
ネックレスを贈りたい
最初のご要望は、緋銅のリングにアジャスター付きのネックレス(長さ45cm)をつけたいとのことでした。
その際に、リングに打刻を希望されていたのですが、対応ができないことをお伝えしました。
その後に届いたメール
「イニシャルは入れたいので、プチイニシャルペンダントのネックレスにリングを通す形にしたい」
このご要望をきっかけに、新しい作品作りが始まりました。

上の写真は、完成品のイメージを伝えるために用意したものです。
1. ベビーリングは、一部溶解してしまった色目のキレイな作品対象外の失敗作を代替えしました。
2. プチイニシャルペンダントは、出展中の作品です。
3. ネックレスは、シルバー40cmに5cmのアジャスターを取り付けた45cmの完成品です。
実際に配置してみると、プチイニシャルペンダントは、直接ネックレスを通しますので、そこにリングを通すのは、バランス(見栄え)に疑問を感じました。
そこで、2つの緋銅がそれぞれ目立ち、かつ意味(メッセージ)のある配置にしたデザインを考えました。
リングは、ベビーリングを使用して、7周年ということで七角形にして、後ろ側にペンダントをチャームのようにつける案をご提案しました。
後ろ側にチャームをつけたネックレスは、これまでの作品にはありません。
新しい試みですが、きっと素敵な作品になるという期待感がありました。
デザインのコンセプト

上のデザイン画は、旦那さまご自身がピンときたイメージを描いて送って頂いたものです。
これを見たときは、「この発想(アジャスターの使い方)は斬新だなぁ」と同時に、このデザインに込められたコンセプト(想い・メッセージ)を推測しました。
そして、これをもとに完成品のイメージを、新たに作ることにしました。
A案

B案

リングとネックレスを通す「アジャスター」には、2種類のものを用意しました。
A案は、ネックレスにつけているアジャスターと同じもの。
B案は、ネックレスと同じもの。
どちらの案も、手元にチェーン単体のものがないので、現品のネックレスを代用しました。
完成品のイメージは、すこし難いかもしれませんが、どちらが好みなのかは、わかりやすいと思います。
最終決定
この結果、B案が選ばれ、有力候補となりました。
自分もA案よりもB案が良いなと思っていたので、予想通りになりました。
しかし、B案が決定ではなく、有力候補となった理由があります。
実は、ご提案の際に、自分もピンときたデザインがあることを一言お伝えしたからです。
この段階で、コンセプトのある素敵な作品が誕生しています。
一言だけお伝えした理由は、C案として一緒にご提案することは、本筋の流れではないと判断したからです。
さて、話が長くなりましたが、このままB案となるのか、それとも新しい案が選ばれるのか。
最後の選択となります。
1案

2案

自分がピンときたデザインをもとに、1案と2案をご用意しました。
共通しているのは、プチイニシャルペンダントの上下に貫通穴を入れることです。
代替え作品がなかったので、手描きです。
1案と2案の大きな違いは、ベビーリングの向きです。
1案は側面が正面になるのに対して、2案はリングの正面となります。
コンセプトをもとに、それぞれの緋銅が目立つように、そして、身につけやすいと感じてもらえるデザインを考えました。
最終的に決まった作品は、1案となりました。
新しい作品の誕生です
オーダーを頂いた作品作りは、アイテムに関わらず同じ姿勢で制作に取り組みます。
言い換えれば、同じ姿勢で制作に取り組めるように、打ち合わせをするように心掛けています。
制作期間中は、完成を楽しみに待っていて欲しいと願いますし、その期待にしっかりと応えるまで妥協はしません。
大切な結婚7周年の記念日に、緋銅を選んで頂き、自分が役に立てることは、自分にとっては喜びでしかないです。
制作の話については、割愛しますが、緋銅の最高ランクの作品が誕生しました。

結婚7周年のプレゼントとして、奥様はとても喜んでくれたそうです。
オーダーをしてくださった旦那様も、とても綺麗な緋色の緋銅の作品で、とても気に入って頂けました。
とても素敵な銅婚式の思い出ができたそうで、とても嬉しい限りです。