鑑定書と鑑別書の違いについて

発行機関


宝石の鑑定書や鑑別書は、公共機関や国家資格ではなく、民間団体によって運営されています。

 

鑑定士が検査機器、顕微鏡、肉眼で宝石の鑑定・鑑別をします。日本では、宝石鑑別団体協議会(AGL)に所属しているところが、一般的には信用ができると言われ、通称「A鑑」と呼びます。

 

AGLに所属していないが、信用できる鑑定鑑別機関を「B鑑」、融通の利く鑑定鑑別機関を「C鑑」と呼びます。つまり、鑑定書も鑑別書もどの機関で発行されたものなのかは、確認をした方がいいという事です。

鑑定書について


鑑定書とは、重量と品質のグレード(等級)を、根拠となる測定・検査結果とともに示したグレーディングレポートです。

これはダイヤモンドについてしか発行されていません。

 

グレードは、4つのC(4C)

  • カラット(carat)…石の重量
  • カラー(color)…石に帯びる黄色の濃度
  • クラリティ(clarity)…石の透明度
  • カット(cut)…輝きの良否を決定するプロポーションの測定結果

この4つで評価されます。グレーディングレポートは、鑑定会社それぞれ独自の書式で発行されています。

 

どのレポートにも4つのCのほか、

  • 写真の添付
  • ダイヤモンドのサイズ(直径の最大値と最小値、テーブルからキューレットまでの深さ)
  • プロポーション(テーブル面の割合、クラウン角度、パビリオン角度、ガードルの厚さなど)
  • 紫外線を照射したときの蛍光性の強さ
  • クラリティ特徴の記号による図示

等の測定・検査結果が記載されています。

鑑定書発行機関


世界での鑑定機関で基準が厳しいとされるのは、アメリカのGIA、ベルギーのHRD(ダイヤモンド・ハイ・カウンシル)です。日本では、GIA、CGL(中央宝石研究所)、 AGT(AGTジェムラボラトリー・GIA JAPAN) の鑑定書が最も信用されています。

 

【GIA:米国宝石学会】

 

1931年にカリフォルニア州サンティアゴで設立された、世界的な宝石学(ジェモロジー)教育と鑑別・鑑定機関です。世界各国に22の支部があります。現在のダイヤモンド鑑定の基準"4C"は、GIA USAが考案しました。GIA USAの鑑定書は世界中で通用し、有名オークションにおいて出品される宝石には、GIA USAの鑑定書を付けることが義務付けられています。

 

また、教育機関として、ここで学び、厳しい試験に合格した者にはGIA-GG(Graduated Gemolosist)という称号が与えられます。このGIA-GGは、世界中の鑑定・鑑別機関で鑑定士として活躍している人の多くが持つ称号となっています。

 

【CGL:中央宝石研究所】

 

1970年設立。現在、日本の鑑定書の6~7割を占める、信頼性に定評がある国内最大手の鑑定機関です。HRD(ダイヤモンド・ハイ・カウンシル)と業務提携を行い、また、鑑定書(ダイヤモンドグレーディングレポート)の発行部数で世界最大級を誇り日本の宝石業界における標準的な存在です。

 

ハートアンドキューピット(H&C)を世界で初めてダイヤモンドサブレポートとして添える、ダイヤモンドスパークレポートの開発を行うなど、ダイヤモンド鑑定分野での先駆的存在でもあります。

 

【AGTジェムラボラトリー】

 

ダイヤモンド鑑定の基準"4C"を考案したGIAと提携し、GIA JAPANとして研究部門を担当、また、宝石学の教育も行っています。

 

現在、日本国内でも鑑定・鑑別が厳格と言われる鑑定機関です。特にカラーダイヤモンドの微妙な色合いの判定には定評があります。

鑑別書について


宝石の比重、屈折率、光学的性質などを各種宝石鑑別機材を用いて検査した科学的データから、天然、合成、人造、模造といった起源や、カット・研磨以外の人的手段(modification)の履歴を明らかにした結果を記した報告書です。

 

鑑別書は所定の検査が可能であれば、裸石(はだかいし loose stone)に限らず、ジュエリーとしてセットされたものに対しても発行されます。書面には必ず発行者の名称と所在地が明記され、日本国内で発行される鑑別書には、通常写真が添付されます。

 

尚、日本のルールでは、鑑別書には価格、品質評価、産地名の記載は行われないことが規定されています。

保証書・証明書について


そこのブランドや店が独自で発行しているものです。