私たちは今を生きています。健康な人、ハンディキャップを持つ人、裕福な人、貧しい人、同じ人間であっても「生」は平等ではありません。しかし、誰にでも平等に確実に訪れることがあります。
それが「死」です。
「九死に一生を得る」ということわざがありますが、その際に幸福感に包まれるような神秘体験をするそうです。
その神秘とは、臨死体験。臨死体験とは、死んではいない、仮死状態での体験です。
これについて研究している方がいるのでご紹介します。
臨死体験
◆ 臨死体験研究者フィリスとケビンの10のビジョン
(1)圧倒的な愛の存在に包まれる感じ
この感覚は、神のような敬虔な姿や、光のように実態のない存在や、亡くなった親族・親戚の姿のようです。
(2)死後の世界の人々の存在とコミュニケーションは、言葉ではなく意識のレベルで起こると言う。
(3)自分の人生を振り返る
自分の人生を始めから終わりまで見たと報告している。現在から過去へ遡って見た人もいた。まるで映画のフィルムを見ているようで、自分の人生の詳細を客観的に目撃しているような気がしたと言う。
(4)神的存在を見る
出会った存在は神もしくは神聖な存在だったと報告している。体験をされた75%の人は、自分は無神論者だと主張している。
(5)恍惚感
最初の圧倒的な愛に包まれる感覚は外からの愛に対して、この体験は自分の体の中から感じるものだと言う。
死後の世界にいると、とてつもない喜びを感じ、肉体からも地上のトラブルからも解放されて陶酔できると言う。
(6)無限の知識
自分が無限の知識の存在の中にいると感じ、その知識全部かまたは一部を授けられる事もあるという。まるで知恵と秘密の世界が共有できたかのような感覚 らしい。残念ながら目覚めてしまうとその知識は消えてしまうが、そんなとてつもない知識が存在したという記憶だけが残る。
(7)死後の世界の階層
死後の世界は1つだけではなく、様々な違う階層があると言う。地獄と思われる場所を体験した者もいる。
(8)時期尚早だと言われる
約半数は、死後の世界に留まるか地上の生の世界に戻るかの、決定がなされる境界線のようなものだと言う。
決定はそこに存在する者によってなされ、やるべき事がまだ残っているので地上へ戻れと言われる。
(9)未来を示す
未来に起こる出来事を告げられるという。それが世界の未来であったり、その人の生死に関わる特別な出来事になる可能性もある。
(10)トンネル
光のトンネルは臨死体験のトレードマークで、他にも体外遊離感覚や、光のシャワーの方向に向かって突進するとか、廊下や階段をぐんぐん急速に進んでいくといったものもある。
蘇生に至る過程
米国の心理学者レイモンド・ムーディーは、臨死状態に陥るとどんな感覚になるのかをまとめた「蘇生にいたるまで14の過程」をご紹介します。
(1)自分の死の宣告が聞こえる
(2)これまで経験した事がないような穏やかで愉快な感覚に包まれる
(3)不思議な声が聞こえる。中には美しいメロディーという人もいる
(4)突然暗いトンネルの中に引っ張られる
(5)魂が肉体から離脱し、外部から自分の身体を観察する
(6)懸命に自らの苦境を他人に訴えるが、誰にも聞こえない
(7)時間の感覚がなくなる
(8)視覚や聴覚が非常に敏感になる
(9)強烈な孤独感に襲われる
(10)周囲に様々な人が現れる
(11)「光の存在」と出会う
(12)自分の一生が走馬灯のように映し出される
(13)先に進む事を遮られる
(14)蘇生する
臨死体験は、お国柄や宗教(日本では三途の川、極楽浄土)による違いが若干見られるが、かなり共通しているそうです。
また、死の直前には、自分の一生に対する評価が下されるそうですが、その評価基準は、どれだけ出世したかや金儲けできたかではなく、「一生のうち自分がどれだけ愛やぬくもりを他人と共有できたか」になるそうです。
臨死体験後の変化
ケネス・リングやシェリー・サザランドの研究によれば、臨死体験後に「他人への同情心が深まり、他人の手助けをしたいという願望が強まった」と献身的な人格に変わるという例もあるそうです。
臨死体験者に起こる変化を以下のようにまとめています。
(1)人生への評価
(2)自己受容
(3)他者への気遣い
(4)生命への尊敬の念
(5)反競争主義
(6)物質主義から精神性へ
(7)知識欲求
(8)目的意識
(9)死の恐怖の克服
(10)死後の世界の確信
死後の世界はある
ハーバード大学脳外科医エベン・アレグザンダーの体験
2008年に昏睡状態となっている間に臨死体験をした。体験後にエベンが自身の脳の状態を調べた結果、7日間の昏睡状態の間にエベンの脳の大部分は機能停止していた事が判明した。
特にエベンの大脳皮質は機能していなかったため、幻覚を見る事すらできない状態であった。エベンの臨死体験では鮮明かつ複雑な内容の映像も現れたため、「脳幹による幻覚説」でも説明がつかない。
「一時的に機能が停止していた脳が意識を回復する際、それまでの古い記憶が支離滅裂に放出された」とする「脳の再起動説」も検討されたが、エベンは昏睡状態中の病室の様子を一部記憶していたため、この説も否定された。
最も印象的な例は、エベンには一度も面識もなく顔も知らないまま他界した実の妹が存在したが、臨死体験中に対面した女性がこの妹であったという(エベンは臨死体験後に両親から渡された顔写真を見て、初めて実の妹の顔を確認した)。
このエベンのケースは、もともと臨死体験などに否定的であった著名な脳外科医が、臨死体験を経て、それが死後の世界への来訪であるとして肯定的な認識に転じた例として有名になった。
後に、エベンの昏睡は麻酔により引き起こされたものであり完全な無意識状態とは言えなかった、とする暴露記事がweb上に掲載される騒動が起きたが、エベンの担当医師は記事の内容に否定的であり、実際は昏睡状態で起こる反射的な発作を、意識があった証拠と取り違えた記事である事が指摘されている(Wikipediaより)。
東大病院救命部部長・矢作直樹氏
50代男性のAさんは、今から28年前、妹を乗せた車で事故を起こし、その直後に臨死体験をした。ふと気がつくとAさんは妹と2人、大破した自分の車を空中から見下ろしていた。すると隣にいた妹が突然、「お兄ちゃんは戻りなよ」と言い、その言葉を聞いた瞬間、Aさんは車の運転席に横たわったままの状態で目が覚めたが、「戻りなよ」と言った妹は即死状態だった。現場検証した警察官からAさんが聞いた現場状況は、臨死体験中に見た光景そのままだったそうだ。(現代ビジネスより一部引用)。
臨死体験をどう活かすか
臨死体験現象は、心が生み出したものなのか?
または、心理的な防衛メカニズムなのか?
幻覚なのか?
ベルギーのリエージュ大学スティーヴン・ローリーズとセルジュ・ブレダートらは、臨死体験の記憶を調べ、もしこれが完全に想像の産物なら、その特徴は想像である架空の記憶に近いはず、逆に臨死体験の記憶が現実に近いものならば、その特徴は現実の出来事の記憶に近いものになるはずだ、という仮説が正しいかどうかを検証しました。
この研究によれば、機能不全が実際に起きた出来事を処理した知覚を生み出していると言う。
幻覚状態と同様、脳がこのメカニズムを騙しているようなもので、この状態は極めて詳しく正確で永続性がある現実の出来事の記憶であふれている。
臨死体験中に起こるこの生理的メカニズムの乱れが、頭で思い描いただけの架空の出来事だけでなく、その人の人生で実際に起こった事までも鮮明に知覚出来る事を立証した。
これまでご紹介した以外にも色々な説はあると思いますが、科学的に証明できた、できなかったではなく、また信じる・信じないも、あまり重要ではないと思います。
ただ、臨死体験で幸福感に包まれる神秘体験をした後に「他人への同情心が深まり、他人の手助けをしたいという願望が強まる」など10の項目を意識することが重要だと思います。
『自己受容は自分の内側でしかできないし、自分の内側でしか、恐怖は克服できない』
死ぬのが平等であるならば、自分が正しいと信じる行動を勇気を出して自然にできるまでとことんやる幸せな人生があってもいいのではないでょうか。