トパーズの語源は、ギリシャ語で『探し求める』を意味する『topazos(トパゾス)』という文献もあれば、サンスクリット語で『火』を意味する『tapas(タパズ)』という文献もある。
トパーズの日本名は黄玉というように、黄色の宝石を代表している有名な宝石です。
トパーズは、多色性であり結晶方向を変えると異なる色が見られます。
元素クロムによって天然ピンク、レッド、そしてヴァイオレットないしパープルの色になります。
トパーズ結晶構造の原子レベルでの欠陥により、イエロー、ブラウン、またブルーに色が変わります。
一般的に無色トパーズに青色の段階的な濃度の変化を与えた宝石が有名です。
無処理状態では、薄茶色、淡水色、無色となり、内包物の混入が少なく、透明感の高い巨大な結晶が得られます。
トパーズはフッ素を含むアルミニウム珪酸塩で、斜方晶系の結晶であるが、産地ごとに多少異なった性質を持っています。
硬度は8と比較的硬い鉱物ですが、結晶の上下軸に直角の方向に割れやすい劈開性を持っています。
そのため、弱い方向に軽く打ったときに、ひびや内部亀裂を起こすことがあり、場合によってはスパっと割れることもあります。
結晶の形からオーバルやペアシェープの形にカットされることが多いです。
エジプト人は、トパーズを「太陽の宝石」と呼び、太陽神ラアの輝かしい光でその色になり、災害から身を守る力があると信じていました。
古代ギリシャ人は、トパーズは太陽神ジュピターに関係があるとし、精神を強くし、魔術を解く力を与えてくれると信じていました。
1300年代から1600年代までヨーロッパの人々は、トパーズが魔法の呪文を解き怒り払拭できると考えていました。
また、「イギリス人は海水色のアクアマリンを好み、スぺイン人は黄色のトパーズを愛する」という格言があります。
聖書の中で、モーゼに与えられた「火の石」のひとつであるとされ、アーロンの胸当てにつけられたとして登場します。
またエルサレムの城壁の土台に飾られた12の宝石のひとつであり、使徒マタイと関係が深い石です。
中世の裁判所では、王、裁判官、そしてその他の地位がある人々は、自分に優位になるように、また良好な関係が築けるようにと、細工を施したトパーズを身につけていました。
アフリカのブッシュマンは祖先の霊の力を借りる治癒的な式典や儀式で、トパーズを使用しました。
何世紀もの間、インドの多くの人々は、心臓の上にトパーズを着用すると長寿、美しさ、そして知性が保証されると信じています。
東洋では健康の石といわれ、胃や陽を丈夫にし、食欲を増進させるのに効果があるとされていました。
近代ではビクトリア女王が、ルビー、サファイア、オパールなどとともにトパーズを愛用したことが知られています。
19世紀、ロシアのウラル山脈で採鉱されたシェリーカラーは、シトリンと区別するため当時ブラジルに在位したドン・ペドロ皇帝のインペリアルを冠して、インペリアルトパーズと命名され、所有権は皇族に限られていました。
インペリアル・トパーズの色は天然で、加熱などの処理はされていません。
アフガニスタンでは、天然ピンクインペリアルを産出しますが、退色が危惧されることと、極めて産出量が少ない為に市場で見ることは滅多にありません。
ビルマのモゴック近辺では美しい黄、青、無色の大粒トパーズが多量に産出しております。
他にスリランカ、ソ連、アフリカ大陸、アメリカにも産出地があります。
日本では、岐阜県苗木、山梨県金峰山などで産出し、苗木ではかつて大きな結晶が産出しており、現在ニューヨークのアメリカ自然史博物館にある1463カラットの卵形にカットされたトパーズは、苗木産といわれています。
ポルトガル王家の王冠に輝く1,680カラットもある巨大なブラガンザの石は、元々はダイヤモンドだと考えられていましたが、実際は美しく透明なトパーズでした。
水和性珪酸アルミニウムであるトパーズは、通 常、花崗岩質ペグマタイトやクォーツの鉱脈中に形成されます。
ミスティックトパーズ(ミスティックファイアトパーズ、レインボートパーズ、チタニウムトパーズ、アラスカントパーズ、カリビアントパーズとも呼ばれる)
1998年香港の宝石展示会で、万華鏡のように煌めくミスティックトパーズが初めて登場。その後、2003年アメリカのトゥーソンでの宝石ショーで人気となりました。
最高級の天然のホワイトトパーズに、物理気相成長法(PVD)によるコーティング処理が施され、虹色に見えます。虹色の見え方は、光源、表面、光源に対して見る角度により違います。
永続性があるPVD処理には、フラミンゴトパーズ、トワイライトトパーズ、ムーンライトトパーズ、カナリアトパーズ、キウィトパーズ、ネプチューントパーズ、ブルーパッショントパーズ、スカーレットトパーズといった新しく人気のカラーバリエーションも登場しています。