打刻体験と緋銅体験
まず、現状をお話ししますと。
新型コロナウイルス感染症感染拡大した2020年から今なお影響を受けているのが、緋銅プレートの打刻体験です。
この体験は、『台東区内で中学生の修学旅行生や校外学習の受入れができる工房』として始まりました。
感染拡大が始まった初期の段階では、ご予約は、延期やキャンセルになりました。
感染の波が一旦落ち着き始めた時には、お問合せや予約などもあり、再開の兆しがありました。
しかし、すぐに感染再拡大に転じたことで、再開の機会をすべて失いました。
その後は、現在まで再開の兆しは見えておりません。
当初から体験を終えた後に、体験の中で何かしら課題を見つけ、それを改善することをしてきました。
回数を重ねる度、年数を積み上げたことで見える世界というか、そこでしか得られない喜びもありました。
それを失ったことが、自分にとっては一番残念なことです。
銅プレートを使った緋銅体験については、大変嬉しいことに予約を頂くことがありました。
ただ、コロナ禍においていは、積極的な発信は自粛していることもあり、数カ月間に1回くらいの予約状況です。
体験予約のきっかけは、大きく2つあります。
・テレビを観て、緋銅に興味を持ったから。
・緋銅の作品を作りたいから。
緋銅体験を始めたきっかけは後者でしたが、実際の割合では半々位といったところでしょうか。
正直に言いますと、彫金教室を運営している職人さんや熟練の金工職人さんの体験予約を頂いた際には、恐れ多くてお断りすることもありました。
基本的には、興味を持ってくださった皆さまには、打刻体験と緋銅体験のどちらもお受けするつもりでおります。
前置きが長くなりましたが、ここから本題となります。
今回のブログを通じて皆さまにお伝えしたいのは、『打刻体験と緋銅体験の予約方法』のご案内となります。
複数名での体験予約方法
まず最初に、ご案内したいことは『体験者の予約人数』です。
工房の作業スペースを考えると、自分を含め大人4人が限度だと思います。
感染予防対策のソーシャルディスタンスを考慮したとしても、予約人数は『3人』までとなります。
続きましては、本題の『複数名での体験予約方法』についてご案内します。
2名以上での体験予約の場合は、下記の内容から選択をしてください。
・全員、同じ体験で予約する。
・打刻体験と緋銅体験をそれぞれ選択して予約する。
⇒この場合、流れとしては緋銅体験の後に打刻体験となります。
・ご来店人数は2名もしくは3名、体験者は1名もしくは2名で予約する。
⇒高校生の場合は、保護者の方の付き添いをお願いしております。
⇒銅や酸化被膜を研究しているグループの方で、緋銅に興味があり参考にしたい。
⇒サプライズプレゼントをして、その際の制作動画を撮影したい。
⇒東京の旅行ついでに体験したい。
このブログを書くきっかけとなったのは、2番目の体験を終えた後のことです。
少し余談になりますが。
これまで体験された年代層は、高校生から定年退職された方までと幅広いです。
中学生の場合は、男性と女性は半々ですが、大人の場合は、男性よりも女性の方が若干多いです。
これまでお話を通じて感じることは、伝統もの、ものづくりや体験などの価値を大切にされている方が多いということです。
その方たちが、緋銅に興味をもってくださることは、とても嬉しいことです。
同時に、その期待に応えられるような内容にしたいという想いが、活動の励みになっています。
一方通行の体験ではなく、臨機応変に対応していきたいという気持ちがあります。
皆さまと一緒になって楽しみながら、打刻体験と緋銅体験をより良い形に育てていきたいと考えております。
これまで緋銅体験に関しては、実演の話を度々頂くことがあります。
その都度、検討するものの結果としては、すべてお断りしています。
理由は、綺麗に仕上がる条件が整っている工房以外での緋銅体験は、メリットよりもデメリットの方が大きいからです。
その理由からも緋銅体験は、国内において希少な体験ができる工房のひとつだと言えます。
最近では、国内旅行を楽しむ人が増えていて、国内版のガイドブックが注目されているという話もありました。
打刻体験も緋銅体験も『東京の旅行ついでに体験したい』という思い出づくりの場として、ご検討して頂ければ幸いです。
そのためにも、まずは『緋銅』をもっと多くの方に認知してもらえるように、そして興味をもってもらえるように。
今後も色々な事に挑戦しながら、緋銅の活動をしていきます。
最後に
中学生の打刻体験の場合には、生徒さんはスケジュールの中で動いているので、体験時間の管理にはかなり神経を使って進行しています。
それ以外での場合では、体験時間の制約を求められることはないので、その時の雰囲気や流れに任せて進行しています。
緋銅に興味をもってくださった方とのご縁は本当に嬉しいですし、もっと緋銅を好きになって欲しいと願っています。
また、ものづくりの楽しさも感じて欲しいと思っています。
体験はその日限りですので、一期一会を大切にしたいという気持ちで対応しております。
緋銅体験では、普段使わないような道具や火を使ったりします。
それらに慣れて頂く必要のあるものは、最初に練習をして頂いております。
やはり火を使う技法なので、体験者さんが事故のないように、心掛けてサポートをしております。
火入れは一発勝負で、3枚の挑戦です。
最初に解説しながら実演をしておりますが、初めての体験です。
失敗はつきものですが、1枚は綺麗に仕上がったものを持ち帰っていただきたいという個人的な目標があります。
結構難しいと思うのですが、皆さま素晴らしい結果を残してくださるので、本当嬉しいです。
『過去イチ難しかったです』との感想を頂き、打刻体験は大人の方でも【楽しめる】ということが確信となりました。
文字を打つのは簡単だとしても、文字の配列やバランスを考えなら、ひとつひとつ文字を打つとなると、結構難しいです。
最初に銅板に練習してもらい、慣れたら緋銅プレートに練習して頂きます。
それから、本番という流れです。
本番中も、間に練習を挟んだりすることもあります。
こちらも一発勝負なので、金鎚、ポイントの持ち方などは慣れて頂くまでサポートをします。
無地の緋銅プレートに打刻する度に、現れる表情とその移り変わりは、見ていて本当楽しいです。
打刻体験も緋銅体験もどちらも同じですが、一緒になって緊張しながら見守っています。
最後に『楽しかったです』と笑顔になってもらえると、心底ホッとします。
自分も含めて、体験される方も、個々に性格も考え方も違います。
なので、体験内容には、これが正解というものは存在しないと思っています。
ただ、体験を通じて大切にしたいことは。
【自分が作ったものに対して、愛着を感じて欲しい】
それには、意識と集中と時間のベクトルを体験される方に合わせて、組み立てていくことが重要だと思っています。
ただ、マニュアルがあるわけではなく、即興というか直感に頼る部分が多いので、毎回不安はあります。
なので、笑顔になってもらえて、体験を通じて緋銅の魅力やものづくりの楽しさを伝えることができたと初めて実感できるのです。
体験された方が、思い出に残る体験のひとつとして、ずっと記憶の片隅に残っていたら、自分にとってとても幸せなことです。
この度は、体験にご来店くださり、誠にありがとうございました!
完成した作品を、これから楽しんで使って頂ければ幸いです。
