緋銅の指輪づくり体験について

指輪と緋銅


これまで、「緋銅の指輪を手作りしたい。」というご要望を頂いた際には、自分なりの考えをお伝えして、お断りしております。

しかし、今後も同じようなことを繰り返すのは、自分としても申し訳ないので、このような形で発信させて頂きます。

 

まず最初に、『緋銅の指輪』は一括りではなく、『指輪』と『緋銅』の2つから構成されています。

現在の銅プレートの緋銅体験は、『緋銅』の体験となります。

 

つまり、緋銅の指輪づくり体験には、2つの工程が必要となります。

・銅の指輪を作る。

・それを緋銅にする。

 

次は、工程ごとに行う作業内容に自分なりの難易度(3段階評価)をつけて、ご説明していきます。

難易度★★★

緋銅の火入れ

【火入れ】

 

最後の工程で行う火入れ作業です。

現在、指輪の火入れは新技法で行っています。

新技法は、緋銅体験とは異なり、難易度も危険度も高くなります。

「できる・できない」の仕上がりだけの問題ではありません。

 

自分が大怪我しても自己責任と覚悟はしております。

しかし、もしも体験者の方に事故が起きたら、その責任は取れませんし、そのことを生涯悔やみながら生きるのは辛すぎます。

 

私の指輪の成功率は、最高で33%です。

はっきり言って、指導をする立場としては力量不足です。

銅の指輪

【火入れ前の下処理】

 

これは緋銅の成功条件のひとつで、とても重要なことです。

表面の状態は、緋銅の仕上がりを左右します。

そのため、特に磨きの作業はかなり神経を使います。

 

指輪の制作は、寸法算出に始まり、銅板の切り出しなど、いくつかの工程を進み完成します。 

作業の比率は、銅の指輪9:緋銅1の割合です。

バフ研磨機による磨き

【バフ研磨機】

 

銅の表面をピカピカに磨き上げる作業です。

2つの研磨剤を順番に使って、完全に仕上げます。

 

気を付けないと、回転に巻き込まれて、モノが飛ばされることがありますから、アクセサリーを作っている人でも苦手意識を持っている人は多いと思います。

 

自分も正直手抜きしたいと思う時はありますが、失敗の原因に直結することを理解しているので、集中して根気よく作業しています。

 

はっきり言うと、サポートしたらできる作業ではないです。

しかし、指輪づくりで一番感動する作業でもあるのです。

ハンドピースによる磨き作業

【ハンドピース】

 

バフ研磨と並行して行う作業です。

主に、指輪の内側を磨く際に使用します。

難易度★★☆

寸法に合わせる

【0.05mmの調整】

 

きっちり寸法に合わせる。

簡単なようで、実はそうではないのです。

削り過ぎると修正ができないため、慎重になります。

そのため、慣れない人は、予想以上に時間のかかる作業となります。

 

サイズ合わせ

【真円にしてサイズを合わせる】

 

カンカンと音のでる作業で、体験ではお馴染みかもしれません。

銅の指輪はろう付けを使いません。

  

・平面から真円にする

・サイズを合わせる

 

真円になる前に、指定サイズを越えたら失敗です。

指輪の幅が、指定幅に足りなければ失敗です。

リング棒に対して隙間がなく真円であること。

リング棒に対して水平であること。

上下どちらも同じサイズになること。

など、指輪になる作業なので、とても重要な工程です。

ヤスリを使った削り作業

【ヤスリを使った削り作業】

 

削る作業よりも、指輪を支える(固定する)ことが大変です。

しっかり固定しないと、ヤスリも真っすぐに当てられません。

 

ずっと支えていると当然疲れますし、削る箇所によっては誤って、ヤスリで指を傷つけることもあります。

 

「銅は柔らかい金属」とも言われることがあります。

しかし、側面、表面、内側と削り上げる過程では、全くそう思うことはないと思います。

難易度★☆☆

銅板からの切り出し

【糸鋸で切り出す】

 

銅板からドーナッツ型を、糸鋸を使って切り出す作業です。

線の外側を削る作業です。

 

手を置く位置が悪いと、糸鋸で指を切る場合があります。

糸鋸の刃は折れやすいのですが、折れた刃で怪我をする可能性は低いです。

 

少し時間をかければ、できる作業です。

リューター

【リューターによる磨き上げ】

 

リューターは、ドリル、紙やすり、ゴムで使用します。

一応、当て方などありますが、全般的にサポートすればできる作業です。

 

鎚目を入れる作業

【指輪の表面に鎚目を入れる】

 

真円にしてサイズを合わせる作業とは全く異なります。

いくつか注意点もありますが、サポートすればできる作業です。

想いを託してください

緋銅の指輪づくりの工程は、『サポートによって、できるもの・できないもの』があるとお分かり頂いたと思います。

できないものに占める体験価値は大きく、体験そのものが成り立たないというのが、結論です。

 

体験の動機は、「記念」「思い出」「感謝」などの『想い』があると思います。

それを満たすことができる緋銅の指輪でなければ、体験を行う価値はないと思っています。

 

緋銅の指輪については、私に想いを託して頂ければ幸いです。

指輪制作では、何度も壁にぶつかり、心が折れそうになることもありました。

その壁を越えることができたのは、みなさまの想いが心の支えになっていたからです。

 

これからも、こだわりをもって、想いを込めて制作していきます。

この先も、緋銅の指輪を選んでいただけるよう精進します。

 

何卒、宜しくお願い致します。

緋銅オーダーペアリング

YouTube動画公開

既に公開している動画、『【魅了する緋銅の美しさの裏側公開】緋銅作家のHow to made 緋銅リングの作り方』をご覧になった彫金経験者の方から、「この動画を見ると、素人の人は指輪を簡単に作れるという印象を与える」というご意見を頂いたことがあります。

そのこともあり、今回の新しい動画を作成するに至りました。