【特注品】緋銅ナイフレスト

Knife rest


ナイフレストとは、テーブルに触れるのを防ぐ為のナイフを置くテーブルウェアです。

また、ナイフ以外にも、ナイフとフォークの2本を乗せる場合や、ナイフ・フォーク・スプーンの3本を乗せる場合もあり、その場合にはカトラリーレストとも呼びます。

※カトラリーとは、ナイフ、フォーク、スプーンなど食事に使う道具を言います。

 

中世以前のヨーロッパでは、宗教的には「指は神様が与えられた優れた道具である」と教えられていたこともあり、人々は器用に指先を使って食べていました。

カトラリーの中でも、最も早い時期から食卓に並んだ道具がナイフでした。

 

12世紀頃は、食事に招いた主が、大きな肉などを切り分ける肉切りナイフを一本だけ用意していました。

その後、15〜16世紀頃から、各自で使うナイフが登場しますが、各自で用意して持参する形式でした。

ナイフは、肉がきれいに切れる、かつ清潔なものであることが大切とされました。

 

1669年、ナイフが凶器として使われるのを恐れたルイ14世が、「食事用のナイフは全て先を丸くするように」と命令を出したことで、テーブルナイフの先は丸い形が主流となりました。

さらに、食文化が成熟してくると、柄が銀で作られたものなど、付加価値をつけた豪華なナイフも使われるようになりました。 

 

【ナイフレストのない場合、ある場合】

西洋料理のフルコースでは、お皿によってカトラリーを使い分けますが、ナイフレストがある場合は、ひと皿食べ終わるごとにナイフレストにカトラリーを置いて、食事終了まで使い続けます。

その違いからナイフレストのあるレストランは、お店を利用する人にカジュアルな印象を与えます。

緋銅ナイフレスト

最初の打ち合わせは、6月下旬に工房にて行いました。

レストランを開業する予定で、テーブルウェアに緋銅を取り入れたいとのご依頼を頂きました。

 

事前に調べてみると、アイテムの形状や大きさなど緋銅で制作できるものは限定されました。

例えば、ナプキンリング。

サイズ27号の緋銅リングで試して頂きましたが、ナプキンリングとしては(内径が)小さく使い勝手に問題がありました。

さらに、大きなサイズのリングを作るといっても、サイズ棒は30号までで道具がありません。

 

そこで、小皿かナイフレストで検討していただくことになりました。

小皿を制作したことはありますが、ナイフレストはありません。

こちらも調べてみると同じように制作が限定されました。

 

ナイフレストは、ほとんどのものがカトラリーレストを意識した製品でした。

そのため、デザインは横細長となり、その場合、炎の大きさに合わせるために長さが制限されました。

 

その後の打ち合せにて、春野様の緋銅ナイフレストのイメージを共有させて頂きながら、2回に渡り試作品を制作しました。

また、レストランでの用途目的を考えると、緋銅の弱点を補う手段・方法(※)も同時に検討・試験・検証を行いました。

約3ヵ月(正味2か月間)、0からのスタートで振り返れば、記憶に残る出来事の連続でした。

 

作品作りでは、火入れの状態を考えながら、最大限の寸法と形状のバランスを導き出しました。

また、共有したイメージを膨らませて、デザインを加えてみました。

金属の銅としての曲線と手彫り模様の流線が美しく、可愛らしい形をした世界にひとつだけの緋銅ナイフレストが誕生しました。

 

ブログ「無機系ガラスコーティングの導入について」

緋銅ナイフレスト

こちらが、完成した緋銅ナイフレストです。

 

お客様がテーブルに座って、まず目にする緋銅ナイフレスト。

ナイフレストは、食事の始まりから終わりまでナイフを休めるための道具です。

 

「これ、面白いね。」

「白(テーブルクロス)に赤が映えるね。」

「これとデザイン違うよね。」

など。

 

ナイフレストがテーブルの上を彩ったり、料理を引き立てたり、食卓の雰囲気(会話)を楽しくする。

春野様のイメージと自分が思い描いた光景を重ねて、制作と向き合い、選りすぐりの作品を納めました。

 

ロネテテとの思い出の中に、緋銅にも愛着を持っていただけたら、これ以上に嬉しいことはありません。

ロネテテのご紹介

お店の名前『La Hönnêtêté(ロネテテ)』は、3つの意味から成り立っています。

lahonnêteté:正直さ、素直さ、誠実さ

tête:頭

ö:お客様が驚いている顔

 

店主春野さんが、料理・仕事に対して大切にしていること。

「正直、素直、誠実であることを常に頭に入れて忘れずに、お客様に驚き喜んでいただける場所」

そうした想いがロネテテに込められています。

 

この場所を選んだ理由について。

「この仕事を目指すきっかけとなった地元のレストランや、今まで働いたり食事に行ったレストランの経験から、自分の根っこになっているものや店を構える意味を以前から考えていました。都心の繁華街のように常にライトや人に溢れている場所よりも、ここのようにそばには川が流れて、緑地や自然も身近にあってゆったりとした時間が流れている場所が自分にとってはレストランとして理想的な場所でした。」

 

特にフランス料理が好きで、これまで味と技を磨いてきた春野さん。

最後にざっくりな質問ですが、どんな店にしたいですか?

「この場所を、近くに住んでいる方々のちょっとしたハレの日や、友人・家族などの親しい間柄の方々が、楽しい食事の時間をここで過ごしていただける空間にしたいと思っています。そんなレストランに流れる時間と空間が好きですし、それにスタッフや自分にとっても住みやすい環境ですしね。」

 

納品でお伺いした9月23日は、開店準備でお忙しい中、対応してくださいました。

春野さんのお話を聞きながら、店内にある箱に包まれた食器や小物などを眺めると、自然美に囲まれ、手仕事の美を味る空間を想像することができました。

最後に、「地域の人々から晴れの日に選ばれる店になりたい。」 と笑顔で語られていたのが印象的でした。

 

 

西洋料理店 レストラン ロネテテ

〒145-0071

東京都大田区田園調布1-11-10

TEL : 03-4362-0188

2020年10月10日(土)オープン

営業時間 18:00~21:30

ランチ 11:30~13:00 ※12月より

 

お店の詳細情報については、下にある「ロネテテのinstagram」をクリックしてチェックしてみてください。

西洋料理店ロネテテ
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