サイズについて
結婚指輪は、毎日身につけますし、さらにずっと身につける方がほとんどだと思います。
当工房では、指輪のサイズを決める場合、毎日身につけることを優先して、その方のピッタリサイズをおすすめしています。
サイズ合わせをしているとき、「今よりも体型が変わるかもしれないので…」「関節の部分がキツイ…」「指輪に締め付けられているように見える…」など、初めて指輪をつける方は不安に思うこともあるので、説明をしながらリングゲージを合わせていきます。
手作り指輪の場合には、打ち合わせの後、日を改めて制作をすることが多いため、必要に応じてサイズの再確認を行います。
以前、手作りをされた方に、「指輪は自分の身体の一部のように違和感がないです。」と言われたことがあります。
基本的には、指輪のサイズは合わなくなることを前提に考えていますが、毎日快適に安心して身につけて頂けるようにご提案をしています。
サイズ直しの判断
サイズが合わなくなるケースで挙げられるのは、妊娠をされている場合です。
これまで手作り結婚指輪をプランニングしてきた中には、妊娠中のカップルさんもいます。
その時の指のサイズで合わせると、後々緩くなりブカブカになる可能性があります。
妊娠前の指のサイズなど、指のむくみを予測してサイズを決めます。
また、春夏秋冬や時間帯(午前・午後)、天気、飲酒などでも指のサイズは変わります。
指輪をつけていて、回ったり、指と指輪に隙間があく、動くなどから、合わないと感じる違和感は、人によって異なります。
上記のような要因では、人によって異なりますが、半番もしくは1番くらい変化しています。
また、サイズ直しに制限はないのですが、指輪への負担を考えると頻繁に行うのは望ましくないです。
1番くらいであれば、もうしばらく様子をみて頂くことをおすすめしています。
確認をした上で、1.5番以上のサイズ直しが必要だと判断した時にお受けしております。
サイズ直しにかかる期間
手作り結婚指輪を作られた方々の多くは、毎日身につけています。
指輪をしていることが普通ですから、指輪がないと違和感を感じるそうです。
自分も経験があるので、とても理解できますし、それも手作り指輪の魅力のひとつです。
そのため、できる限り早い納期を段取りするように心掛けています。
具体的には、週末預かりの翌週末お渡し(5日間)で考えています。
「そんなに早くできるのですか。」と驚かれることもありますが、この対応は手作り指輪の場合だけです。
一般の修理でのサイズ直しは、期間は異なります。
仕上げについて
サイズ直しの加工の流れは、一部を切り離し、サイズを合わせたら、ろう付け、最後に綺麗に磨いて完成です。
下記の写真は、今回お受けした結婚指輪を納品時に撮影したものを掲載しています。
気がついたでしょうか?
リングには小傷が残っています。
磨き残しではなく、ご要望のもと小傷を残しているのです。
実際、職人の立場を考えると、全周綺麗に磨き上げる方が作業的には楽です。
全周を回してみた時の小傷のバランスが自然に見えるように。
このような感覚的、感性で伝えてる依頼では、職人が困ります。
そもそも、小傷を残すという発想は他ではないと思います。
しかし、それが可能なのは、パートナーの職人と同じ工房で活動しているからです。
Mさまも仕上がりにとても喜んでくださり、指輪のない生活を過ごしたことで、さらに身につける喜びが増えたそうです。
「仕上げについて」と合わせて、下記の「新品仕上げ」もお読みください。

宝石外れについて
サイズ直しの件でお問い合わせを頂いた後も、指輪は身につけていたそうです。
2回目にご連絡を頂いた時には、気が付いたらダイヤモンドが外れていて、ダイヤモンドを紛失してしまったとのことでした。
宝石を石留めして外れる原因には、何かしらの要因で爪がゆるんだり、土台となるリングが変形したことで、押さえのバランスが悪くなるなどが考えられます。職人との打ち合わせの結果、ダイヤモンドを止めている個所のリングが変形していることが原因だと判明しました。
対応としては、ダイヤモンドは同じサイズよりも大きいサイズをご用意し、爪留めも前よりも外れにくい留め方にしました。
リングの変形の要因には、ブカブカな状態で毎日身につけていたこともあり、サイズ直しによってピッタリ合わせています。
修理前よりも、適切な対処をしているので、これまでと同じように使っても問題がないことをお伝えしました。
今回の場合については、お預かりの時点でダイヤモンドと石留の費用はこちらで負担することにしました。
※基本的には、費用についてはご負担して頂いております。
新品仕上げについて
新品仕上げのタイミングについては、おふたりが必要だと感じた時に依頼していただければと思っています。
例えば、結婚式で指輪をお披露目する時や、結婚〇年目の時などおふたりの節目の時、夫婦喧嘩した時など。
基本的には、真珠のネックレスのようなメンテナンスの提唱はしていません。
手作りの場合には、指輪に刻まれるキズは、ふたりが一緒に人生を歩んできた証の意味もあるからです。
一概にキズは見栄えの悪いものではないと考えると、新品仕上げの判断はふたりの気持ちで選択していただければと思います。
余談ですが、必要な場合を除いて、定期的にメンテナンスされる方は、ほとんどいません。
過去に貴金属の素材でK18WGを扱っていた時、数年後に再会する機会があったのですが、メッキが薄れた状態で身につけていました。
でも、本人いわく「そうなんですね、あまり気になりませんでした。」
それを機に、メッキが必要となるWGの取扱いを止めました。
・どこでもメンテナンスの対応ができる。
・購入後のメンテナンスは最小限に抑える。
この2点は、サービスを提供する上で大切なことだと考えています。