ワックスと鋳造の話

ジュエリー製作


ジュエリーの製作(ここでは実用的・量産の意味を込めて)の代表的な技法は4つあります。

  1. 「手作り」
  2. 「キャスト」
  3. 「ワックス」
  4. 「プレス」

【2】キャスト(キャスティング)の技法は、100年程の歴史があり、日本では20年程前から、主流になっています。永いジュエリーの歴史で見れば、主流だったのは【1】手作りです。しかし、技術の進歩や一般の人にもユーザー層が広がったことで、低価格ジュエリーの大量生産などの影響で、現在はキャスト枠がジュエリーの約90%を占めています。

 

日本だけでなく、海外のブランドジュエリーでも一部の高級ジュエリーは除きますが、ほぼキャスト枠製品です。キャスト枠とは、シルバー等の金属で、ジュエリーの原型を製作し、型抜きをして、鋳型を作ります。そこにロウ材のワックスを流し込み、ワックス枠を作り、高温で溶かした18金やプラチナ地金を流し込んで、ジュエリーの空枠を製作します。これが『鋳造』です。

 

大変な設備と工程を経て完成するのですが、大量に同じものを製作すると、コストが安くなるメリットがあるのです。手作り指輪の場合には、直接、ロウ材のリングワックスを使ってリングの原型となるワックスを制作します。この方法のメリットは使用する地金の無駄がなく仕上げる事が出来ます。手作りでの製作は、地金を削ったり、打ち出したり、多くのロウ付けなど、より高度な技術と仕上がり以上に沢山の地金が必要になり、価格も高くなります。

長い修練をしなくてもできる

まず、ジュエリー製品になるまでには、ひとつの原型の制作からはじまります。
ここで、原型の制作として3つ挙げます。

  1. 金属を直接加工してつくる地金原型

  2. ワックスからつくるワックス原型

  3. パソコンでデザインを作成して機械で切削するCAD原型


【1】【3】は、職人の技術が必要ですから、長い修練が必要です。

【2】ワックスは、長い修練が必要なく、制作することができます。


ワックス原型は、鋳造という工程を経て貴金属のジュエリーとなります。既製品と同じ品質ですから、光沢が綺麗で、ダイヤモンド等の石を留めると、私達がよく目にするジュエリーが出来上がります。誰もが、本格的で素敵なジュエリーを作ることができるのです。

ワックスなら自由自在に指輪が作れる

納得いくまで削ることも、盛り付けることもできるワックス。ワックスの作業は、とても細かいため初心者では難しいものでした。当店はハードワックスを削り出して原型をつくります。

 

「削り過ぎたらどうしよう…」

「途中で割れてしまったらどうしよう…」

 

工程の最初の方では、作り直しにしています。ただ、工程も後半になると、作り直しだけの対応はしません。ワックスはロウのような素材なので、削るだけでなく、溶かして盛りつけることが可能なのです。つまり、削り過ぎたら盛り足し、盛り過ぎたら削りができるということです。

 

繊細な表現や技巧を凝らした指輪でも、自分で作りたいという想いさえあれば、つくることは可能なのです。自由な発想で想いを込めるということは、ワックスならではのメリットと言えます。また、ワックスは、とても少ない道具で作れます。

リングワックスの修正

工房というと、専門工具が溢れているイメージがあります。たくさんの種類のヤスリや糸ノコギリ等、普段は扱わない工具。さらに、特殊な作業に必要な機械類などは扱い自体が難しいです。

 

しかし、ワックスに必要な道具は、全て並べても小さなテーブルにおさまる程度です。やすり、スパチュラ、リーマー等、それと厳選した道具を使って、自由自在に指輪創作が楽しめます。


初めてでも安心して楽しむ事ができる

本格的にジュエリーを創作する場合には、『鋳造』、『磨き』、『石留め』、『メッキ』などの工程が不可欠です。この部分はジュエリー職人にお任せください。自分で手作りする場合に、一番大切なことは『デザインと原型創作に打ち込める環境や夢中になれる状況』です。

 

手作りは、デザインから制作まで手がけることができるアートです。リングプランナーは、手作りされる方にはクリエイターとして、世界にたったひとつの指輪作りをご提案します。

 

『指輪が好きになった。』『自分らしさが表現できた。』

など、手作り指輪を体験された方は、ご自身のセンスを磨き、大変満足されています。また、自分が作った指輪だからこそ、ブランド品や既製品と比較されることもなく、周りからの評判もいいものになるでしょう。


ワックスの種類と特性の説明

『ブルーワックス』は、柔らかく粘りが多少あるため、割れづらく加工しやすいので初心者向けです。溶解温度約105℃。

『パープルワックス』は、硬さ、粘りともにプルーとグリーンの中間。 溶解温度110℃。

『グリーンワックス』は、硬く、削り易いワックスで、溶解温度も一番高くプロがよく使うワックスです。溶解温度116℃。

 

初心者向けのブルーのメリットは、粘り気があるので割れたり欠けたりすることを心配しなくてもよい。反面、シャープな彫りや細かい柄を自分で表現するのが難しいというデメリットがあります。

 

グリーンのデメリットは、粘り気がないので折れたり欠けたりし易い。反面、シャープな彫りや細かい柄まで綺麗に自分で表現できるメリットがあります。

 

リンプラでは、製作するジュエリーのデザインに合わせて使い分けるのではなく、このグリーンを使用しています。内側に自分たちで文字を入れて欲しいですし、ワックスになるべく自分たちの模様やデザインを彫って欲しいと願うからです。

そのため、万が一割れたり欠けたりした場合には、その場で修正を行うこともあります。なお、その際にはワックスの削り粉を再利用することはありません。