デザイン注文
今回のお問い合わせは、「緋銅のペンダント、もしくはピアスのデザイン注文は可能でしょうか。」というものでした。
デザインについては、直接、お会いして打ち合わせをすることになりました。
当日、用紙にデザインされたものを、確認しながら共有していきました。
デザインのポイントは、「葉のモチーフ」と「名前」を表面と裏面に入れます。
基本的には、名前を刻印することは、緋銅の特性からお断りをしております。
お受けしたのは、この人の為に作ろう。と気持ちが動いたからです。
葉を観察する

葉の形状については、お任せしてくださるとのことだったので、まず初めに葉を探しました。
自宅の生け垣になっているベニカナメモチの葉をモチーフにすることにしました。
この時期は、新しい葉が赤くなり、緋銅のイメージにピッタリだと思いました。
ちなみに、この若葉が赤い理由は、赤い色素「アントシアニン」が含まれているからです。アントシアニンは、まだ柔らかくて葉緑素も十分に形成されていない若葉を紫外線から守るサングラスのような働きをしています。
葉のデザインでは、葉の葉脈をどのように表現するのか試行錯誤しました。
最終的には、デザインされていたものをベースに手を加えました。
デザインが決まると、次は作業の行程を考えます。
行程が決まると、いよいよ制作開始です。
う~んっ…どうかな?

左は、最初の作品です。
うーんっ…その次に制作をしたのが真ん中です。
この作品は、納品できると判断した作品です。
でも…どうかな?と気になりだし、右が最後に制作した作品です。
この作品を納品させていただきました。
これらの作品は、緋色の出来栄えは、最高ランクの仕上がりです。
ちなみに、ここでは3つの作品を紹介していますが、制作数はもっと多く、倍の数はあります。
完成品を見て、自分の中で納得ができなかったのは、葉脈の線、線の歪みでした。
手作りならではの味とも言えるかもしれないのですが、「惜しい」という気持ちがありました。
本当に最後の最後にしよう。
道具を変えて、もう一度、作品制作をしようと決めて、パートナーの職人に相談しました。
結果的には、すぐに鏨を使いこなせないと判断した職人が、引き受けてくれました。
最後の行程となる緋銅にする作業は、これまでの中で、一番大きな重圧でした。
その重圧の中でも、弱気にならず自分を信じて限界ギリギリまで攻めきることができました。
一点の曇りもなく自信をもって、作品をお渡しすることができました。
緋銅リーフペンダントネックレス
表面
作品に合わせて、白色の甲丸タイプのバチカンを新たに準備しました。

裏面
一文字ずつ打刻するため、横並びで乱れがないよう行いました。

※お名前は個人情報のため、白枠で隠しています。