緋銅作品の価値
緋銅作品の価値は、銅の中に秘められている緋色を、どれだけ引き出すことができるかで決まると思っています。
鮮やかな緋色は、いつ、何時、眺める度に、魅了されるほど美しさを感じるからです。
しかし、そこに辿り着くには、決して容易なことではありません。
今回のオーダー作品は、鎚目クロスペンダント(縦29×横22)です。
制作では、合計数で39本のペンダントを作りました。
結果は、合格(OK)は17本、不合格(NG)は22本でした。
不合格(NG)の理由は、表面の緋色被膜の状態です。
緋色の美しさを損なうような白色や黒色の被膜が残る場合は、多くのケースで不合格にします。
また、表面に溶解している部分があれば、不合格にします。
正直、色ムラがあっても、魅力的なものもあります。
しかし、緋銅を初めて見るという人が圧倒的に多いです。
「緋銅って、綺麗なんですね。」
このような第一印象でなければ、緋銅が世の中に広がることはありません。
今回の成功率の低さの原因は、クロスの大きさや形状といったデザインの条件があります。
オーダーを受ける前には、まず緋銅にできるかを考えます。
過去の経験を頼りに判断しますが、お断りすることもあります。
成功率は、あくまでも結果。
ただ、半数以上が不合格のなか、合格した作品は、一見の価値があります。

灯~AKARI~
今回は、同時進行で灯~AKARI~の作品も制作しました。
素材の銅板は、手彫りされた花を選びました。
花を選んだ理由には、「困難に対する勝利」「希望」の意味を込めています。
身に着ける人に神秘の力を与え、災いから身を守るアイテムとなることを願って作りました。
『灯~AKARI~』とは
技術を磨く職人たちが懸命に1本1本真剣に刻んだ数々の練習用の銅板。
その銅板が、決して表に出てくることはありません。
練習では1本1本にその当時の職人の想いが込められています。
技術という点では未熟かもしれませんが、想い出の銅板であることには変わりありません。
その銅板を緋銅という新しい息吹を吹き込んだハンドメイドの1点ものです!

テーマ『いつか必ず』
いつか必ず、一緒になろう。
今は、お互い離れた場所にいて、それぞれの時を過ごしているふたり。
ふたりは、今すぐ一緒になりたいと願う。
でも、それが叶わない現状を、お互いに理解している。
ある日、同じ時間に同じ番組を見て、初めて見る緋色の美しさに、心が動いた。
そのとき、彼女とふたりでこの緋銅を身につけたいと思う。
そのとき、彼とふたりでこの緋銅を身につけたいと思う。
この運命的な出来事に、ふたりの気持ちは盛り上がった。
緋銅とめぐり合ったことで、相思相愛の仲だと感じることができた。
いつか必ず、一緒になろう。
ふたりの思いはさらに希望に向かって前進する。
※作品テーマ『 いつか必ず 』は、福岡県Y様と彼女様のおふたりにお願いをして考えて頂きました。
※おふたりの手紙を基に編集・校正しています。


デザインのクロスの起源には、上下左右の四隅には、土・水・火・風の4元素を表しているそうです。
また、縦と横の線が交差していて、それが天と地の交流を表し、生きる力(エネルギー)の象徴を意味するとも言われています。
ともに、「困難に対する勝利」「希望」の意味を込めています。
鎚目は「受難」に打ち勝つという意味を込めてます。
誰もが心の中には『いつか必ず』という想いはあると思います。
この作品が、身に着ける人に神秘の力を与え、心願成就のアイテムとなることを心から願っております。
