競争社会のない平和と幸せを目指す国コスタリカ

コスタリカ共和国


港区ワールドフェスティバル2018で、コスタリカ共和国の事を知りました。それまでコスタリカについて知識がなかったので、事前に調べる中で人権の考え方が素晴らしい国だなと印象に残りました。「コスタリカ市民は命や平和や人権や環境を慈しむことの大切さを教える教育の成果で、人を思いやり尊重する意識、人を傷つけない意識が世界でトップレベルである。コスタリカは福祉や医療や治安のレベルが世界でトップレベルであり、戦争や犯罪や貧富の格差などの人間社会の問題は解決されて、市民の誰もが他人を蹴落として自分だけが勝つことを考える競争社会を無くし平和で幸せに暮らしている。」(引用先:Wikipedia)

 

各日3名限定という狭き門の予約が取れ、話を楽しみにしていたコスタリカ共和国大使館の訪問でしたが。。。感想は控えます笑

そこに並んでいた資料の中で、気になったものを頂いてきました。それが、「コスタリカに学ぶ会」つうしん。その中にある記事の内容の一部をシェアしながらコスタリカの国をご紹介したいと思います。

軍隊を捨てた国

コスタリカはアメリカ大陸のちょうど真ん中に位置します。北米と南米をつなげる部分に位置し、北の国境はニカラグア、南はマナパに接しています。面積は九州と四国を合わせたくらいです。(面積51.100k㎡)日本とのGDPの差は大きく、人口も差があります。480万と1億2700万。GDPは日本は3倍です。2017年コスタリカを訪れた旅行者は約300万人でとても増えています。

 

コスタリカの歴史で重要なことは、軍隊をなくしたということです。1948年12月1日、1ヵ月にわたる市民戦争の後に、戦争に勝った側が、今後決して武力闘争をすることがないようにこの国で軍隊を使わないことにする、と決めました。とても特殊な状況で、政治的に敵となった人たちは社会の変革を求めていた人たちでした。医療はすべて無料にすることを決め、労働者の権利のために労働法を定めました。この間の歴史のとても重要なここは、軍隊はなくしましたが、国内の政治紛争で敗けた側が行ってきたことを勝利した側も尊重したことです。国内をまとめる、ということが尊重されていたのです。単に軍隊を廃止したということだけでなく、それまで世界の中の一員としてのコスタリカの基礎を作ってきた人々をも尊重するということでした。

 

コスタリカの母親は自分の子供が産まれた時に、この子は兵士にならないのだと知っています。そのことを私たちはとても誇りに感じています。生まれ育ってきている軍隊を知らない世代、将来の世代に対して、私たちは紛争は軍隊なしで解決していけることを伝えていく必要があります。軍隊を廃止したために、当初軍隊や武器、兵士の給料などに使われていた予算を別の2つの基本的な分野に向けることができました。教育と健康という分野です。

 

国の最大の「制服を着た軍隊」とは、公立学校で無償の義務教育を受けている子供たち・若者たちなのです。教育機関は国のあらゆるところに分布しています。特徴的なのは、69%もの教育機関が農村地域にあるということです。人口が少ないところにも学校があるのです。したがって、2016年の国連の調査によればコスタリカの識字率は97.8%になっています。同様に公共衛生の分野でも全国すべてのところに病院、クリニックがあります。平均寿命は日本より少し低いかもしれませんが、79.6歳です。収入のレベル、平均寿命などは日本などの先進国と比べ、それほど変わらないでしょう。

 

軍隊をなくし、さまざまな改革を行った結果、国は団結して持続可能な発展をとげる社会を作ることを目指しました。そのような社会を追求するために絶対に不可欠なものは、人的資源、社会的資産、物理的資産、もちろん自然資産、財源です。30年ほど前にコスタリカは大きな社会構造改革をしました。農業を基本としていた産業構造から、基本的に先進技術により国民の発展を模索する社会となったのです。良質な農産物をもつ農業構造を持ちながら、高度技術、ノウハウなどに移行して、さまざまな製品を輸出する必要があると考えています。このような変化は経済発展と多くの雇用を生み出します。

 

農業部門以外の重要な輸出産業は、薬や医療器具、外科手術機器などの医療品、エレクトロニクス製品、半導体チップなどです。コスタリカにはインテルの新製品を作っています。航空宇宙の分野では、中米で最初の人工衛星が日本の大学の援助を受けて打ち上げられました。外国へのバックオフィス・サービスなど、大きな会社の会計その他の業務を引き受けています。

 

最も重要な輸出製品は、農業ではコーヒー、バナナ、パイナップル、ハイテク関連では電子部品、光学機械、医療器具などです。コスタリカが提供できる製品種類は4500にもなります。日本との貿易は最重要なチャレンジですが、まだとても弱いです。コスタリカも日本もまだまだ出せるものがあると思います。もう一つ、コスタリカの大きな変化は、コスタリカが自然保護、緑の国へと力を注いでいることです。現在コスタリカは、電力の約99%を再生可能エネルギーで生産しています。エネルギーのシフトにコスタリカは非常に努力してきました。電力の多くは水力により発電されています。これらは日本の技術を使うものですから、コスタリカの電力に関して日本はとても大きな役割を果たすことになります。

 

国土の30%に当たる国立公園、あるいは自然保護地区には国の大きな努力が払われている、というのもコスタリカの特殊な状況です。小さな国ですが、私たちは国際的にも大きな影響力を引きだすことを目指します。コスタリカの努力は、国際社会の中で模範となるために必要なのだ、と私たちは信じています。話をするだけでなく、結果を引き出したいのです。国の中での私たちの行動は、世界全体のレベルでの話の結果なのです。私たちはとても小さい存在だけれど、変化をもたらすためには小さいからできない、ということはありません。自分はとても小さいので何かを変えることはできない、と思っているなら、一匹の蚊と一晩寝てごらんなさい。

 

もう一つの重要な部門は観光です。自然を保護し、緑にするという政策のおかげで観光業が発展し、関心を持つ人々が訪れます。もちろん大きな設備やホテルもあります。コスタリカの人も日本人も温泉が大好きです。コスタリカの温泉は日本と少し違っています。小さな国に120も火山があります。温泉が地下から湧き、雨と混じって川になります。人々は温かいお湯が滝のようになっているところに入り、自分が自然の一部になって楽しみます。

 

女性の地位はますます大きくなっていて、前政府も現政府も女性の権利に関するさまざま決議を行ってきました。女性に参政権が与えられたのは1949年。1955年には国立の女性に関する機関が設立されました。1990年には女性の平等推進法ができ、2007年には女性に対するDVに関する罰則法が整備されました。最近、選挙法の中で女性と男性の比率を50%ずつにすることが決められました。2015年には、女性が融資を受け、自身で起業できるような開発銀行の特別プログラムが法制化されました。コスタリカにはまだまだ挑戦しなくてはならないこと、変えなければならないことがたくさんあります。すべてはできなくてもできることはしています。生活の質のレベルを表すいろいろな参考資料があります。コスタリカがラテンアメリカの中で統計上一位を占めるものは、教育、ビジネスチャンスなどいろいろです。

 

世界の国々の幸福度に関する報告があります。ライフ・クオリティ、安全などさまざまな分野を評価した報告書では、コスタリカは世界の12番目に位置しています。いわゆる先進国よりも上です。コスタリカより上位の11カ国の中で、アメリカ大陸の国はカナダだけです。ですからラテンアメリカでは1位ということになります。コスタリカが上位を占めるデータはいくつもあります。実際のコスタリカはGDPに関しては少ないのですが、GDPが比較的高いために、国際社会からの援助のいらない国と評価されてしまうことにもなります。GDPが1万ドル以上だと、国際社会から見れば、生活の質が高い発展途上の国のリーズナブルな収入ということになるのですが、こういう考えはまやかしでもあります。大きな挑戦をしている国にとっては、国際的な支援が有れば、前進していくことができます。

 

先週、コスタリカの大臣が日本を訪れましたが、彼は「金持ちであることと貧乏であることの違いは、川のこちら側から向こう側に渡ることだ。」と言いました。コスタリカはだいたい川の真ん中に位置しています。しかし国際的な支援が有れば、向こう岸にたどり着く危険を犯すことなく、元の側に戻れるでしょう。目標を果たすのはとても難しいですが、失うのはとても簡単です。コスタリカの人口の20%は貧困状態にあります。この中には極貧の家族もいます。

 

コスタリカの人口は500万人足らずですが、別の国からの移民の人たち100万人もコスタリカに住んでいる、ということも知って頂きたいのです。世界の中で最も多くの移民、すなわち人口の20%を超える移民を抱えているわけです。地域で紛争、政情不安の問題などが起こると、現在だとベネズエラやコロンビアから政情不安により人々がコスタリカにやってきます。コスタリカは人権を尊重し、生活の安全を保証しますから、生まれた国にいたくないからと移るのではなく、状況がそうさせるために移ってくるのです。残念ながら、コスタリカへの移民はかなりの財政負担になります。同じ様なサービス、同じ様な教育を受ける必要があるので、すべての仕組みを前進させなければならなくなるからです。

 

核兵器不拡散条約という問題。数ヶ月前、コスタリカは国連でこの問題の検討委員会の議長を努めました。コスタリカの大臣が来日したときに、北朝鮮の軍事演習などのアジアの状況をどう考えるかという質問がありました。コスタリカは北朝鮮の行動には同意しないと断罪しました。北朝鮮の行動はアメリカや日本、韓国に対する攻撃だからです。この意味で、国際社会で私たちが決定しなくてはならないのは、北朝鮮という国を非難するのではない、ということ。政府を非難してもいいけれど、朝鮮民主主義人民共和国の国民を非難することではないということです。

 

核兵器に関しては、それぞれの国にはそれぞれの異なる事情がある、と思ってきた時がありました。しかし伝えたい大事なメッセージは、これまでの世代は核兵器のない世界に生まれてきたけれど、私たちは核兵器のない世界にいる権利を享受することができ、これからの世代もそういう権利を持って産まれてこなければいけない、ということです。

平和のつくり方

コスタリカが地域で軍隊がないことについては、イメージを傷つけるネット情報がある。しかし、このようなことは誤りです。いろいろなことを一緒くたにしないことが大切です。南米では世界で最も多くの麻薬、主としてコカインが生産されているのは秘密でもなんでもありません。そして消費者の大半は北アメリカであるというのも明らかなことです。そうすると中米は南から北に麻薬が運ばれる時の橋渡しになります。コスタリカは軍隊のない国ですが、市民を守るために必然的に協力を求められることになります。麻薬の密輸は危険なものなので、市民の安全だけでなく領土の安全も守らなくてはなりません。

 

例えば、アメリカがコスタリカに装置や訓練などをもたらし、麻薬戦争に対処するということがあります。基本的にはこの分野では米国当局に大いに協力しています。緊密な米国との関係のお陰で、対麻薬戦争には前進が見られました。問題は麻薬に関わる国々の治安が悪くなり、深刻化していくということです。でも、このような国々のために努力をしなかったら、コスタリカも闘いに負けることになります。コスタリカの面積の10倍くらいの海を領有しています。密輸はまさに海を通ってなされるのです。最近、アメリカがコスタリカに麻薬密輸監視のための沿岸巡視船を寄贈した、というニュースもありました。

 

最近の選挙での投票率は選挙権を持つ大人の約75%でした。そのことは25%が棄権するということでもあり、大きな問題です。民主主義の存続は市民の参加にかかっているからです。市民が参加しなかったら民主主義は死を宣告されてしまいます。市民の無関心は民主主義にとって最も深刻な病気です。そこで、何年も前から、子供たちが選挙できるようなプログラムをつくり、子供が選挙というお祭りに参加し、選挙する権利がどういう意味を持っているのかを学ぶ機会をつくってきました。子供たち、若者たちに選挙権はとても価値のあるものだと理解してほしいと思います。自分の好き・嫌いを表明する機会、国の発展のプロセスに自分たちが参加するための機会でもあります。

 

学校の授業では、選挙がいかにたいせつかを教えますが、それとは別に、子ども選挙が何年も前から行われるようになりました。子ども選挙では、両親が子どもが2~3歳の時から選挙に連れていきます。大人と同じ様な紙を投票箱にいれるのです。2歳や3歳なんて小さすぎるんじゃないか、と聞いていくる人がたくさんいます。重要なのは、このようなお祭りに小さいときから参加するということです。お祭りなのです。他の国にこんなお祭りはないでしょうね。子ども選挙の結果が大統領を決めることはありませんが、世論調査会社の中には、子ども選挙の結果を待っているところもあります。ほとんどいつも子ども選挙の結果が国の選挙の結果と同じになるからです。

 

9月15日がコスタリカの独立記念日。インターネットでも見ることができますが、学校がこの日にとても重要な役割を果たしています。国中で、子供たちが街に繰り出し、歌や楽器、旗などで盛り上がります。お祭りに若者たちが参加するというのが1番大切なところです。若者会議が開かれ、様々なテーマに意見を述べるというところもあります。子ども選挙、独立記念日、若者フォーラム、その他の多くの活動を通じて、若者たちは国の将来には自分たちに責任があるということを理解します。

 

コスタリカはかつてマチズモ(男性至上主義)の考え方をする保守的な社会でした。しかし、最近は大きく変化しています。

 

軍隊を持ちたいと思っている国民は一人もいないと信じています。紛争は法律によって解決する、ということをこれまでも今も信じています。その例は最近の出来事も含めていくつもあります。ごく最近、ニカラグアがコスタリカに侵略するということがありました。国際裁判所に提訴し、地域問題を解決するために状況を確認する使節団を派遣して欲しいと要請しました。国際社会は問題を解決するために圧力をかけ始めました。そして、2015年12月に、コスタリカの言い分を認める判決が出ました。問題解決のためにどのようにするかを表す一つの例でしょう。最近、これもニカラグアとの海の領有権を巡る問題があり、お互い主張し、現段階では国際裁判所に持ち込まれ、今後の解決を見ることになっています。これらはコスタリカが問題解決のために軍事を持つ必要はないと考えている例です。司法を信じているのです。

 

人類が生き延びるためには、2つのことがあると思います。平和を獲得すること、そして気候変動に努力を払うこと。どちらも21世紀に生きる人類がいなくなるかもしれない、という危険をはらむ大きな問題です。決定に若者を巻き込むことが重要です。どんな計画を立てるときでも、若者や子どもたちを巻き込むことが大切です。最も深刻な若者の問題は、無関心ということ。自分たちの問題は何もやらないでも勝手に誰かがやってくれる、と思ってしまうことです。自分たちが引き受けなくてはならないことなのに。物質的なものに対してではなく、価値あるものに対して誇りを感じて欲しいと思います。人に対して何かをする、連帯する、差別をなくす、ということをしてほしい。他の国を理解することによってのみ、平和を作り出せると思います。紛争は、知らないということから生じる差別や憎しみによって生じます。

死刑のない国

刑務所を見れば、その国の人権に関する考え方はだいたいわかるという。コスタリカの刑務所は、あまりにも待遇が良すぎるそうだ。いざ脱走しようと思ったら簡単にできそうなのに、誰も逃げないのはなぜか。それは刑務所の中の方が外よりもはるかに待遇がよいらしい。さらに、コスタリカには死刑がないそうだ。刑務所内には、小学校から大学、美術やパソコンまで習える学校があったり、受刑者たちが野菜を作って健康的なご飯をつくっている。公衆電話も設置されていて、恋人と逢瀬ができる、公的ラブホテルまであるそうだ。すごく自由な雰囲気らしいです。

 

なぜ、日本の刑務所と大きな差があるのか。それは、刑務所にくる犯罪者のほとんどは、その前に格差や貧困など自分自身の人権が保障されていなかったことが原因にあるからだ。自分のもつ人権、他人のもつ人権、その人権同士をどう折り合いつけるかを学ぶ場所が塀のない刑務所で行われている。つまり、犯罪者を懲罰するための場所ではなく、人権を理解し、人権を尊重しあえることが幸福なんだということを体感することで、その人の意識を更生し、再犯率を下がる結果を生み出しているのです。

いつか行きたい国コスタリカ

いかがでしたでしょうか。
今回は「競争社会のない平和と幸せを目指す国コスタリカ」と題してご紹介しました。軍隊を捨てたことで、別のものを作る。紛争が無くなることはないとしても、紛争を話し合いによって解決を続ける。その結果、暴力は必要としなくなり、対話と民主主義と人権によって平和を作り上げていくことが、教育の大切さだと理解できます。

 

また、戦争は弱者、女性や子どもに犠牲を強いるものです。戦争がないということは、毎日安心して外出できる暮らしができる。平和は外から来るものではなく自分の心の内からくるもの。社会に、家庭に、自分の心に平和があることが重要であると考えている。日本の教育では、子どもたちは他人に勝つことを求めて育つが、コスタリカの子どもたちは、競争の精神はあまりありません。公教育省のスローガンに『いつでも私たちはもっとより向上できる』というのがあり、競争心をあおることではなく、期待されていることを果たす、人々に敬意を払うということが期待されているそうです。

 

おわり

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