原型とゴム型の違い

鋳造


ジュエリー製造において、ほとんどが鋳造方法を採用しています。手作り指輪でもロストワックスを削って指輪の原型作りをして頂いています。

ワックスは簡単に言うとロウソクの塊のようなものです。

 

リングのワックスが原型となります。その原型に石膏を流し、覆い固めて、加熱すると中のワックスが溶けて流れ出し、空洞ができあがります。そこに金やプラチナなどの溶かした金属を流し込み、原型通りの指輪が出来上がるのです。

 

このため、原型から金属になった指輪の出来栄えは、ワックスを修正する職人の技術がとても重要になることはご理解いただけると思います。

ゴム型とは、地金で作った指輪などと同じワックス型を複製するためのものです。見た目には、全く同じものに見えますが、正確には、原型のものよりも小さくなります。少しという基準も個人差がありますし、制作の世界での0.1mmはやはり違います。

 

ゴム型の良いところは、デザインによって耐久性は変わりますが、一度作れば数百個分使えます。金属原型からの複製は、下記の写真の「焼きゴム」で行います。耐久度が高めで、価格、製作日数ともに液ゴムより優れています。

その液体ゴムは、耐久度はやや低めですが、原型からの縮みが少なく、ワックスや樹脂などからも作成できます。

 

リンプラでは、ゴム型は推奨していませんが、もしも、どっちかを選択するならば、液ゴムを選ぶと思います。


1本目と2本目以降は違う


自分で最後まで作ることや依頼時には修正ではなく整えるという状態、内文字も自分で彫るなどを推奨しているのは、原型がそのまま金属になるからです。

つまり、完成した指輪を見て、自分が作ったという実感をどれだけ感じてもらえるかを大切にしています。

 

1.作った方の想いがたくさん込められている状態である。

 一杯目のお茶、コーヒーのファーストドリップが美味しいように、手作り指輪もワックスの原型から金属になった最初の1本目に価値があると考えています。


2.自分で作った形跡が手作りした証明になる。

 職人の手彫りやレザー刻印など優れた技術を利用しても、オーダーメイドではなく、自分で指輪を手作りしたという事に疑問を感じる。

 多少の歪み、絶妙なラインなど、その方でしか作れないものだからこそ、疑いのない手作り指輪だと考えます。

 

3.作った本人以外に手が加わる程に、本人らしさが弱くなる。

 指輪の完成までの作業は分業のことが多い。工程が増えるほどに、人の手が加わる程に、本人らしさは弱くなっていきます。そのため、リンプラでは分業を最小限まで減らしました。作った本人の想いをしっかりと指輪に残したいという考えは、完成した指輪をご自身で触れた時に、「なるほどこれか!」とご理解していただけると思います。

 

4.ゴム型を渡す行為に抵抗を感じる

 量産する時に使用するゴム型を渡す意味とはなんでしょうか?よく思考は現実になると言いますよね。1本目の指輪を長く大切に愛用して頂きたいので、要望がない限り、リンプラからはゴム型を渡すようなことはしません。

 

5.価値観

 1本目と2本目は違うという意見もあれば、同じようなものという意見もあります。どっちが良い悪いではなく、価値観の違いです。

 ミニマリストやLess is moreなどの思考からも、1本目と2本目の価値の差は大きいと確信しています。

 

最初から同じものがあるとわかっていたら、「世界にたった一つ」、「大切な」などという意味合い、「純粋」、「想い」などもまた意味合いが違うものになると考えています。だからこそ、1本目にこだわっているのです。