制作時間の枠を超えた先にある美しい光景

自由な発想


常々、手作りされる人には、自由な発想で想いを込めて欲しいと思っています。

そして、この想いを込めるという形は、性格、価値観、個性と同じで、作り手によって様々な表現方法があると思います。

相手が感動してくれそうなことや、喜んでくれそうなことであれば、「これが良い、これは良くない」など、ジャッチすることはありません。時には、その手法にアドバイスをさせていただくこともあります。

 

ただし、個人の自己満足でしかない結果になりそうな時だけは忠告します。正しくは、別の視点、別の面があることを伝えます。

感動と喜びを増やすことが、リンプラの理念です。手作りを通じて、同じ方向に一緒に進まなければ、決して実現することはできません。また、その時だけの一過性ではなく、永い期間を見据えて考える必要があります。

 

もちろん、将来のことなど、不確定であり確固たる根拠があるわけではありません。しかし、これまでのジュエリー販売の経験と手作り経験、結婚後に起こる問題なども含め、今の時代だからこそ、様々な視点から手作り指輪を組み立てる必要があります。その上で、リンプラでは、「自由な発想」を提唱しています。

 

想いが込められる時間

指輪の制作をしている時、必ず想いが指輪に込められてゆく光景を目にします。

当然ですが、「想い」は目に見えるものではありません。しかし、その瞬間はわかります。

自分は、その光景に出会う度に、本当に素敵、かっこいい、美しいなぁなどと感動する瞬間でもあります。

 

しかし、「この光景を見る」ためには条件があります。その一つが、想いの純粋さです。

自分はこの光景が見えた時に、想いが昇華すると考えています。もし、これを感じることができない制作の場合、おそらく理念を実現することはできないと考えます。また、想いが純粋性に欠ける場合は、上っ面だけで質の軽いものだと言えます。

 

想いが純粋であれば、あるほどその想いはしっかりとした強固なエネルギーを持っています。
そして、そのエネルギーによってのみ、本人以外の周りの環境に影響を与えることができます。また、自然の流れを引き寄せることができます。偶然であるような、必然な出来事、奇跡のような出来事さえ起こすことができるのです。

想いを込めるのは制作だけではない

今回の制作は、婚約指輪です。結婚されて、お子さんもいるので、婚約指輪というと違和感を抱く方もいるかもしれません。
しかし、二人にとって、最初の婚約指輪であれば、そのタイミングがどうあれ、婚約指輪だと考えます。また、エンゲージは誓いの証ですから、誓いの意味を込めて贈る指輪は、婚約指輪と言えると思います。

 

ここからが本題で、今回は、3歳の娘さんと二人でお越しになりました。平日は体力のいる仕事をこなす3児のパパです。
家族のために、一生懸命仕事をされていますし、子育ては一緒にしていくものだとお考えで、ママには感謝の気持ちを忘れない素敵なパパさんです。この婚約指輪には、これまでの日頃の感謝の想いを込めたいと理由がありました。ここでは綴りませんが、本当はそれ以上にたくさんの二人の想いが含まれています。

 

制作は午前中からスタートしました。休憩を挟みながら徐々に中盤の作業へ。そして、中盤も後半になった時に、再度指輪を削り直しをしなければならない事態が起こってしまいました。

作業では、集中力はもちろん想いが入りますので、エネルギーも消耗します。普段の仕事の疲れも重なり、再度休憩を挟みました。

集中力つまり、エネルギー充電には、心と体を休める必要があります。

 

この日の温かい日差しも窓から差し込んでいました。しばしの休憩(睡眠)されている姿がとても美しく、この光景は制作の時に想いが指輪に込めらる時に味わう感覚と同じものでした。

このことから学んだことは、見えない時間も間違いなく、想いが指輪に込められているということでした。

つまり、指輪と向き合った時間と比例して、指輪に想いが込められるということです。

 

制作しているだけが、思い出作りではないということ。

制作しているだけが、ものづくりではないということ。

 

毎回、「制作はどのくらいかかりますか?」と聞かれると、「出来るだけ、たくさんの時間をかけて制作をしてください。」と答えています。それは、見えない想いと見える指輪、その両方から得られる満足感、幸福感が手作り指輪の最大の魅力だと思うからです。

この後、しっかりと最後まで指輪は完成してお預かりをさせていただきました。