金額で婚約指輪の価値は決まらない

某会社が22歳~35歳の働く女性を対象に行った、2016年8月のWebアンケート結果が発表されていました。

アンケートの内容は、『Q. 婚約指輪の金額はいくらくらいがいいと思いますか?』というもの。

男性であれば、贈るなら“いくらくらい”なら満足するかな?

女性であれば、貰うなら“いくらくらい”なら満足できるか?

指輪選びでは、『金額』を条件に挙げる優先順位が高いだけに、誰もが気になるところだと思います。

 

しかし、婚約指輪を、金額という断面からのアプローチだけで、そのものの価値や意味を見出すのは違和感を感じます。

このアンケートに答えた女性の意見から感じることができると思います。

 

・安くても素敵なデザインの指輪はたくさんある。指輪より住宅環境や家具や家電などにお金をかけてほしい。

・滅多につけることのない婚約指輪に、そんなに高いお金を払う必要はないと思う。

・その人の気持ち次第なので、金額は気にしてない。

・給料の1か月分くらいでいい。デザインが気に入れば値段は気にならない。

・普段から身に付けるだろうから、汗水などに強いもの、という意味で少し値が張ってもいいかな。

・何となく高すぎても普段あんまりしないものだと思うし、勿体無い気がする。

・興味があまりないので、好きなデザインのものがあればそれがいい。

・自分の好きなデザインの婚約指輪なら、値段にはそれほどこだわらない。

・一生に何度もあることではないため、きちんとしたものが欲しい

・一番高価なおくりものであってほしい

問題の本質


「婚約指輪を身につけていると幸せな気持ちになる」

「我慢したけど、やっぱり婚約指輪は欲しかった」

「もう少し安い(高い)婚約指輪でも良かった」

婚約指輪にどんな価値観や意味を見出すか、どんな婚約指輪に満足を感じるかは、その人それぞれです。

 

自分でも婚約指輪は、安い買い物だとは思いません。

『金額』が大事だと思う気持ちもとても理解できます。

しかし、問題の本質はそこではありません。

 

プランニングの経験を通じて皆様にお伝えしたいのは、その金額に見合うだけの価値、意味のある婚約指輪をちゃんと選ぶことができていない人が多いということです。

婚約指輪とは


婚約の意味は、将来結婚することを約束することです。

しかし、法律上はあくまで他人ですから、プロポーズは口約束となります。

 

プロポーズが成功して「幸せ」の最中でも私たちは、感覚的興奮を与えてくれるものを探し求めます。

「目にすることができる何か素敵なもの」

「触れることができる何か素敵なもの」

口約束をカタチとして、証にしたのが婚約指輪です。

 

私たちは、感動や喜び、「幸せ」「幸福」「至福」を感覚的興奮から満たそうとしています。

しかし、感覚的興奮から得られる幸せ、幸福や至福は長く続くことはありません。

外側からの得られるものは、いずれ冷めてしまう感覚的興奮にすぎないということです。

 

婚約指輪を、一時的な自己の感覚で評価、判断することは間違っていると思います。

一生に一度の婚約指輪


『あるとき、あるところでは幸せを感じ、別のあるとき、別のあるところでは幸せを感じない』

これは本当の幸せではありません。

本来、「幸せ」、「幸福」、「至福」は永遠であり、時間や空間、外的な物事に依存するものではありません。

 

婚約指輪は、結婚の約束の証です。

「幸せ」、「幸福」、「至福」に対する渇望を満たすことができるものが相応しいのです。

ふたりが内面から満たされる婚約指輪を選ぶことが最初の行動なのです。

 

私たちは、感覚的興奮によって心の本質を奪われています。

心の本質を奪われた精神状態では、感覚的興奮に翻弄されるばかりで、永久に幸せ、幸福、至福を得ることはできません。

婚約指輪は、ブライダルジュエリー市場の大きな柱として、導入、成長、成熟、後退の歴史の流れの中で、次から次へと変化してきました。

 

フラッシュモブが話題となり、サプライズプロポーズでの婚約指輪も注目される中、これまでと同じ損得勘定の販売方法ではなく、婚約指輪の価値や意味は何であるのか、新しい概念を広める機会だと考えます。

「一生に一度の婚約指輪」

「約束の証」

など、婚約指輪は絶対的な存在であるはずです。

 

婚約指輪という“もの”を売るだけの目的は、正しい行為ではないと考えています。

その存在自体が奪われている状態においては、ふたりが内面から満たされる価値、意味のある婚約指輪を手に入れてもらうために、私たちが自分の想いを大切にすることの重要性を理解し、想いのある活動を優先して実行することで、社会に大きな貢献ができると信じています。