以前のブログに書いた「涙の理由」
あの時は、あるカップルとの結婚指輪の打ち合わせでの出来事について、正直な想いを綴りました。
これまで打ち合わせをした経験、相手の態度、反応から総合的に判断すると、このご縁は切れるだろうと思ったからです。
でも、心の片隅のどこかに、このご縁が切れないで欲しいと強く願っている自分はいました。
「正しい想いは、相手に届く(響く)ことを信じたい」
あの時は、6月でした。
打ち合わせの時には、指輪の納品希望日をお伺いします。
デザインの決定時期、制作時期、お渡し日など日程をお互い確認していきます。
いつまでに制作を終えなければ、希望日には間に合わないということはわかります。
つまり、それまでに連絡がなければ、ご縁はなかったということです。
希望日は8月末(遅くても)でした。
何事もなく6月が過ぎ、7月も過ぎ、とうとう8月になりました。
「やっぱり…仕方ないよね。」
これまで、打ち合わせだけでご縁が切れることは幾度と経験しています。
いつのまにか、それが積もり積って自分の中で固定概念が出来上がっていました。
ところが!
彼から連絡がきたのです。
嬉しいサプライズな出来事が起きたのです。
もう一度、打ち合わせをしたいとのことでした。
おふたりの前向きな意思に対して、自分が望んでいた通りになって、とても嬉しい思いになりました。
でも、それでも、そのことを素直に喜べない自分がいました。
当日、おふたりと再会。
前回の打ち合わせの際に、お渡しした方眼紙。
その方眼紙の裏面の白紙に、4つの指輪のデザイン案が描かれていました。
なんと描いたのは、彼女の方です。
それを知った瞬間に、完全に自分の中の固定概念は崩壊しました。
「素晴らしい!!いいじゃないですか!!」
指輪のデザインではありません、彼女の前向きな姿勢にです。
強く心が打たれました。
その場の空気が一転したというか、ふたりとの間にある見えない部分が見えた瞬間。
もしくは、繋がり(純粋な想い)を感じた瞬間でした。
4つのデザイン案は彼女の意見で、彼はまた別の意見を持っていました。
その場で意見が合わないこと、食い違っても全然構いません。
それを統合するのも打ち合わせの目的です。
もっと大事なことは、ふたりが同じ位置に立って、同じ方向を見る事なのです。
ボタンと同じで、最初に掛け間違えてはいけないのです。最初が肝心なのです。
前回の打ち合わせで、その大事なことが足りていないと感じました。
これまでプランニングしていると、いろいろと考えさせる機会に恵まれます。
ふたりの人生の中でも幸せにいる状態で関わらせて頂いてる。
専門家として指輪に対しての役割と責任は重大だと思っているし、幸せな仕事だと実感している。
感動と喜びを増やすを理念にしているのは、自分で手作りをして良かった。リンプラで作って良かった。
そう言って貰いたいからです。その言葉が心の支えになり、手作り指輪の輪を広げるエネルギーになっています。
制作と創造がリンプラの手作り指輪です。指輪を作ることだけが、思い出作りではありません。
手作り指輪は、無形と有形の2つの領域があります。
無形とは、創造の領域です。
無形と有形は、制作の領域です。
有形とは、指輪です。
この2つの領域を体験して、初めて手作り指輪に満足していただけるのです。
指輪のコンセプト
「なぜ、この指輪なのか?」
指輪を選ぶ時には、一番最初に考える事項です。
結婚指輪を手作りするなら妥協はして欲しくない。
自分の使命は、手作り指輪を広めることではありません。
指輪を創作することで、ふたりに大切なものを感じてもらいたいのです。
ただが指輪だと決めつけるのは、本当に浅はかで無知なのです。
プランニングが必要な理由は、誰でもその世界に触れることができるように導くことなのです。
これから制作〜結婚指輪のお渡しまで、ふたりがどんな指輪を作り上げていくのか、どんな物語を創るのか、自分のプランニングでふたりが何を感じてくれるのか、自分が何を感じられるのか、本当に楽しみです。