プラチナ事情

最初に興味深い逸話に彩られたプラチナの歴史。その希少価値を知る者だけに選ばれてきた魅惑的な貴金属です。プラチナの物語は、私たちの想像を超える長い歴史を持っています。

 

プラチナ鉱床が初めて出現したのは、今から20億年も前のことなのです。プラチナは、巨大な隕石の衝突によって誕生したといわれています。

 

以来、この希少で魅力的な貴金属は、人類の歴史に何度も姿を現しますが、プラチナの発見者たちの中には、その価値に気付かない者もいれば、その魅力に気付いた者もいました。

 

古代エジプト人、南米のプレ・インカ時代の人々、スペインのコンキスタドールたちもプラチナと遭遇しています。その後、プラチナは何世紀もの間、姿を消し、1700年代に入ってから再び注目されるようになりました。当時の国王たちや錬金術師たちはプラチナの魅力の虜になりました。

 

そして、19世紀から20世紀にかけて人気を高めたプラチナは、現在では世界中の有名映画俳優やセレブリティが愛する最高の貴金属として認知されています。

日本はプラチナ消費国


結婚指輪の素材に「プラチナ」を選ぶうカップルは多いです。日本では、年間10㌧のプラチナが宝飾に使われています。これはなんと、人口比率においてプラチナ・ジュエリー消費で日本は世界一なのです。

 

さらに、その内訳は10㌧のうちの約4割がブライダルに使われています。これだけプラチナを使ったブライダルジュエリーは世界にも類がありません。他の国を見てみるとブライダルの文化や風習はさまざまです。

  • アメリカ…90%

アメリカでは、プラチナ消費の約9割がブライダルです。特に、1980年〜2000年に生まれた世代にからプラチナは支持されています。アメリカでもマリッジリングの購入は女性がリードしています。エンゲージリングは約7割が男性です。その全体の2割がオンラインショップで購入しているそうです。

  • インド…60%

インドでは、3兆円の宝飾市場の約6割がブライダル需要です。インドでは、マリッジリングの伝統はありません。ペアリングがその役割を担っていました。そこでインドPGIが「Platinum Day of Love」キャンペーンを2009年から実施。そのキャンペーンの内容は、二人の間で愛が芽生えたことを記念したペアリングの交換というもので、これが支持されて、プラチナ消費の約6割に至っています。

  • 中国…68%

中国には、エンゲージリング、マリッジリングの交換文化はありません。そこで、プラチナの変わらない価値が二人の変わらない愛の象徴である、と発信したことを続け、マリッジリングは約7割のカップルが購入し、エンゲージリングは約4割が購入しています。さらに、68%がプラチナです。

プラチナ・ギルド


プラチナが広まったのは、プラチナ・ギルド・インターナショナルの功績といっても過言ではありません。プラチナ・ギルドは、1975年に設立された大手プラチナ鉱山会社が出資して運営している会社です。

 

主に、ジュエリー業界のメーカーや小売店に対して、プラチナ・ジュエリーの販促や教育をサポートしています。ロンドンに本部があり、中国、インド、米国、日本と、世界の主要なジュエリー市場にオフィスを構えています。

 

毎年大掛かりなキャンペーンを行い、雑誌やオンラインとともに、友人や家族、同僚からの「口コミ」も高い支持を集めました。特に娘を持つ40歳以上の女性では、5割弱がプラチナの良さを娘に伝えていると言われています。

 

さらに、一番の情報源は「店頭」です。お店の特徴にあった女性像をイメージし、その女性たちに響く切り口や情報をポスターや雑誌などで発信することで、効果的な成果に繫がっていきました。また、購入する際、最終的な決心を促すのは販売員の役割。「やっぱりプラチナが人気です!」というと、普段ジュエリーに親しみのないカップルは、それがいいと思うのは当然ですよね。

日本のブライダル事情とジュエリー市場


現在の日本のブライダル事情とジュエリーの購入意欲はどうなっているのでしょうか。

  • 若年層の人口減やライフスタイルの変化から婚姻組数は減少傾向
  • 平均初婚年齢は「29.3歳」と高め
  • 若い男性・女性の価値観が「モノ」から「コト」へ変化

さらに、5年前に比べ、若い層ではジュエリー全体への関心度も低下傾向にあります。もともと、ジュエリー購買層は年齢も高いのが特徴です。それでも、20代後半では75%が「ジュエリーに関心があり、ジュエリーを買いたい」との結果になっています。

 

平均初婚年齢「29.3歳」と年が増していますが、自分の審美眼や価値観で物事を判断できる年齢にあり、インターネットの普及もあり自分で必要なことは調べることができます。これからは、自分を励ますワンランクアップのために婚約指輪や結婚指輪が求められているはずです。

 

素材にこだわるのは、モノの価値観であり、これからは婚約指輪や結婚指輪の意味がより大事にされる時代になる。日本ではこれまでプラチナが支持されていましたが、昨今ではWGやゴールド、とくにPGなど若いカップルから人気がありますが、「結婚指輪はプラチナ」というイメージを持たれているカップルは多いです。

世界のプラチナ刻印の表記方法


ジュエリーに使用された貴金属の種類と純度を証明するものとして刻印があります。日本でもプラチナでも純度が異なりますが、各国でも表記も様々です。

 

【世界のプラチナ刻印】

  • インド

Pt950

  • アメリカ合衆国

PT900 / 900PT / 900PLAT

PT950 / 950PT / 950PLAT

PT999

  • 日本

Pt850

Pt900

Pt950

Pt999*

* 2012年4月からPt1000はPt999の表記に変更されました。

  • 中国

Pt850

Pt900

Pt950

Pt990

プラチナとホワイトゴールドの違い


プラチナとその他の貴金属の違いは、ホワイトゴールド(WG)は、見た目はプラチナとよく似ていますが、その白い色を保ち続けるためには時間の経過に伴ってメッキをする必要があります。

 

プラチナは、和名で白金と言われる通り、天然の白色で、決して褪せたり変色したりすることはありません。プラチナは粘り強い性質を持つため、小さな爪でもしっかりと宝石を留めることができます。プラチナは比重(密度)が高いため、同じデザインでも他の金属より重く感じます。

 

具体的には、プラチナのリングはゴールド製の同じサイズのリングよりおよそ40%重くなります。また、18金のジュエリーの純度が75%であるのに対し、プラチナのジュエリーは、90%の含有率です。プラチナ製品は純度が高いため、アレルギーを起こしにくいとも言われています。

プラチナの使用上の注意


プラチナの特性は、密度が高く、しなやかで粘り強いです。また、希少な貴金属でもあります。

 

一般的に、プラチナは硬いというイメージがあるようです。しかし、プラチナ単体では軟らかいのです。

ジュエリーの装飾品には、適度な硬さを持たせたり、溶解温度を下げて鋳造しやすくするため他の金属を混ぜます。

 

代表的なPt900のパラジウム割は、傷は付きやすいですが、プラチナ自体の摩耗はしません。

日常生活では、買い物袋、野球、楽器、園芸など瞬間的に強い力がかかる動作や、指輪がきつかったり、指輪がくるくる回る緩さも変形の原因になります。

 

意識的にしなくても人によっては無意識に瞬間的に力が入ることにより変形する例もたまに見受けられます。

特にダイヤモンドや宝石がたくさん入っているデザインのものは、普段づかいのものでも、着用したまま作業するのは避けた方が良いでしょう。購入される時は、極端に細いもの、薄いものは避けた方が無難です。