ヴァンクリーフ&アーペルから学ぶこと

ヴァンクリーフ&アーペル(以下:ヴァンクリ)は日本の西武百貨店が輸入販売をしていたのが始まりで、日本に上陸して40周年を迎えたそうです。ヴァンクリのポジションは、ハイジュエリーです。

ハイジュエリー

ハイジュエリーとファッションブランドとの違いには、ビジネスのサイクルがあります。

ファッションの場合は、約3カ月スパンです。新作も3カ月なら、ビジネスプランも3カ月。

ハイジュエリーの場合は、ロングスパンなのです。

 

代表的なコレクションがあることもハイジュエリーの特徴です。

ヴァンクリでは、四つ葉のクローバーが有名です。

イエローゴールドの四つ葉部分にダイヤモンドがあしらわれている。(286万6500円)

 

ハイジュエリーは、その起源歴史に誇りがあります。

ヴァンクリでれば、パリのヴァンドーム広場に起源を持つハイジュエリーとしての誇りです。このイメージをコマーシャル、流通、PRして保守することがすべての根幹にある。その枠からずれたり、ブレない信念があります。

日本市場の特徴

残念ながら、日本はハイジュエリー市場はありません。

1千万円以上のジュエリーを買う欧米人と比べると圧倒的に日本人は少ない。

総売り上げに占めるシェアも絶対額も、先進国の中では低く、中間層は他国に比べて圧倒的に高い。

 

ハイジュエリーが日本に根付かないのは、経済的な豊かさではなくて、文化にあります。

日本の富裕層がなにかにお金を使うときに、選択肢の中にハイジュエリーは入らない。

例えば、3000万円の車、1億円の土地があっても、1億円のダイヤモンドは買わない。

身に着けて幸せになる、気持ち良くなるだけでは、選択肢の中に入らないのです。

 

ハイジュエリーが選択肢に入るには、それを身に着けていく場所、機会を作ること。

欧米では毎晩のようにどこかでパーティーが開かれています。人目を引くためにジュエリーで飾る場所がある。

日本にはその場所が足りていない。その現実を変えていかないとならない。

 

つまり、身に着ける場所を提供することが長期的な課題のひとつ。

もうひとつは、ビジネスを拡大するほど、ブランドの高級感・贅沢さは減退します。

そのためにも、認知度を高めることが必要です。

 

その結果、知らない潜在顧客を掘り起こすことができるから。その可能性とポテンシャルは日本にはあります。

日本では根付かない宝石文化

日本は、長い歴史の中でも宝石の文化は根付きませんでした。

日本人が再びジュエリーを手にしたのは明治維新以降です。

 

欧米で宝石が好まれた理由に「美観性・希少性・携帯性・耐久性・換金性」の5つの条件を満たしていました。

価格の概念ができる前から、これらは宝石の評価の条件として受け入れられていました。

 

特に「携帯性」は重視され、宝石は動産の代表例でした。

動産とは、不動産の対義語で、現金・株券・商品など移動できる財産のことをいいます。

欧米では歴史的に勢力図の変化によって財産を持ちださねばならない状況に陥ることも多く、土地を持ち去ることはできなくとも、宝飾品は身につけて逃げることができたのです。

 

日本は島国ですから、欧米とは異なり不動産文化だけが育ちました。

永遠の価値をもつといわれる宝石ですが、売る事を前提に購入するというのはおすすめしません。

あくまでも、身につけて楽しむものとして捉えるべきでです。

宝石は何十年も身につけて楽しんだ後に変わらぬ価値が残るものです。

祖母から受け継いだ婚約指輪を花嫁のためにリフォームができるのも永遠の価値をもつ宝石ならではです。