7つの結晶系<宝石学>

結晶系

 宝石は、秩序、美しさ、硬さ、純粋性、完全性、発光性、透明性、半透明性、明るさ、輝き、豊かな色、永続性などの特質を持っています。それぞれの宝石は、3次元空間で可能な7種類の対称性を代表する、7つの結晶系のどれか1つに属しています。

 

 結晶は複数の結晶軸があり、その軸にあわせて分子が並び結晶面が形成しています。ここでは結晶軸の本数と長さとその角度の特徴をそれぞれ紹介していきます。

 

≪ 7つの結晶系 ≫

  • 等軸晶系
  • 正方晶系
  • 斜方晶系
  • 単斜晶系
  • 三斜晶系
  • 六方晶系
  • 三方晶系

等軸晶系

結晶軸は3本。

結晶軸の長さは3本とも同じ。

交差角度は3本が90°に交わっている。

立方晶系とも呼ばれるこの等軸晶系は、サイコロのような立方体が基本的です。

  • 属する鉱物

ダイヤモンド、パイライト(黄鉄鉱)、ガーネット、スピネル、フローライト(蛍石)、マグネタイト、ラピスラズリなど

 

正方晶系

結晶軸は3本。

結晶軸の長さは3本の結晶軸のうち2本が同じ長さで1本が異なる長さ。

交差角度は3本が90°に交わっている。

基本的な形は直方体ですが、四角柱や両錐体で現れるものもある。

両錐体の場合は底面がお互いにくっついた形(ピラミッドの底面がくっつたような形)が多い。

  • 属する鉱物

スキャポライト、アポフィライト(魚眼石)、ルチル、キャルコパイライト(黄銅鉱)、ジルコンなど

斜方晶系

結晶軸は3本。

結晶軸の長さは3本とも異なる長さ。

交差角度は3本が90°に交わっている。

  • 属する鉱物

トパーズ、バライト(重晶石)、マーカサイト(白鉄鉱)、セレスタイト(天青石)、アラゴナイト、真珠、アレキサンドライトなど

単斜晶系

結晶軸は3本。

結晶軸の長さは3本とも異なる長さ。

交差角度は3つの角度のうち2つは90°で、一つは90°ではないもの。

  • 属する鉱物

ムーンストーン、緑簾石(エピドート)、孔雀石(マラカイト)、ジプサム(石膏)、スフェーンなど

三斜晶系

結晶軸は3本。

結晶軸の長さは3本とも異なる長さ。

交差角度は3つの角度全て90°ではない。(鋭角がそれぞれ交わる)

  • 属する鉱物

ロードナイト、トルコ石、カイヤナイト(藍晶石)、アマゾナイト、ラブラドライトなど

六方晶系

結晶軸は4本。

結晶軸の長さは、4本の結晶軸うち3本は同じ長さで同一平面上にあり、一本のみ異なる長さ。

交差角度は3本が互いに120°で同一平面上で交わり、残りの一本が90°で交わる。

  • 属する鉱物

緑柱石(エメラルド・アクアマリン)、アパタイト(燐灰石)、ロードクロサイト、カルサイトなど

三方晶系

対称性は、結晶を360°回転させた時に、面と稜の位置関係が同じ形で2回以上現れる条件があります。

6回現れるのが六方晶系、3回現れるものを三方晶系と呼びます。

ただ、分類は難しく、六方晶系と同じ扱いをされることもあります。

  • 属する鉱物

コランダム(ルビー、サファイア)、トルマリン、水晶、カーネリアン、ヘマタイトなど。


以上、7つの結晶系をご紹介しましたが、これはあくまで理想的な形です。

つまり、結晶系に属する鉱物は、成長においてなんの問題もなく、すべての方向に綺麗に育った場合になる形なのです。

 

実際は、鉱物はこのように理想的で綺麗な結晶の形はほとんど産出されていません。

地下の狭い空間で、色々な環境の影響をうけて、細長くなったり角がなかったり様々な状態で産出されます。

 

更に偶然に結晶が組み合ったり、たくさんの結晶が群れをなしたように産出されることもあります。

普段私たちは、美しく輝く宝石に魅力を感じる人は多いですが、原石、つまり結晶に魅力を感じる人は少ないと思います。

 

結晶軸を起点に考えることで、また違った宝石の楽しみ方を発見できるかもしれませんね。


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