女性が男性に手作りする理由

ひとりで手作りをする場合、多くの利用者は男性です。その理由は単純に婚約指輪の存在があるからです。また、自分が欲しいデザインの指輪を手に入れるために、自分で手作りする人はあまりいません。その時は、言葉で意思を伝えてくるのですが、実際に行動する人は本当に少ない。しかし、女性が男性のためにひとりで手作りすることはあるのです。これまでの経験からすると、女性からの反応は「彼に作ってもらいたい。」という意見が大半で、「彼のために作りたいです。」という声はほとんど聞いたことが無かった。もちろん、利用率はまだ極々僅かではあるが、そのお手伝いをする度にこの手作りした指輪を贈るという行為はお互いの関係や価値観や性格を再確認できる意義のあるものだと感じています。

女性が男性に手作りする理由のメリットについて、ここで物語風にして綴りたいと思います。

※写真はイメージで本文内容とは一切関係ありません。



彼の誕生日にプレゼント

来月は彼の誕生日。交際2年目を迎えるAさんがプレゼントを考えていた時に、偶然にも指輪を自分で手作りできることを知りました。普段はお互い仕事をしているので、なかなか会う時間もない。一日あれば、制作ができると聞いて、休みの日に思い切って制作することにしました。自分でデザインを考えながら、彼の指輪のサイズを確認しました。正直、子供のころ図工はそんなに得意ではなかったので、ちゃんとできるかは不安でした。でも、サポートしてくれるというから何とかなるだろうと思ったし、彼が自分の作った指輪を見て喜ぶ姿を想像すると楽しくなった。ジュエリーショップで綺麗に飾れらている指輪は、購買の対象ではなく、自分のアイデアのサンプル品でしかなかった。


いよいよ、制作の日。ワックスを切り出して、内側をリーマーという道具で削り出し、指輪のサイズに合わせる。「こんなにも、大きいの?」その作業も大変だったけど、あらためて、彼の指の大きさに驚いた。

なんとか完成した指輪の原型。初めての作業だから、時間は掛かったけど、制作している時間は、相手の喜ぶ顔が浮かんだり、最後は指輪に神経が集中していた。久しぶりにこんなにも集中したって感じで達成感で一杯でした。ワックスの指輪をかざすと、うっすらと内側に彫った文字が見える。厚みが薄くなったことで、不透明な緑色からすこし透明になり、その光が入り込む色合いを楽しみながら、最後まで作り上げた自分に誇らしい気分になっていました。自分で想いを込めた指輪は、最高のギフトを手に入れたような気がしていた。


良い思い出が作れました

「本当に自分で作ったの?」

指輪を見た彼がそう尋ねた。普段から愛情表現は上手い方ではない。彼は、手作り指輪だと知っても、そこは変わらなかったのですが、その日は、会う人会う人に指輪を見せては、俺の彼女が手作りした指輪と自慢してお披露目していた。


男性が貰ってもジュエリーを身につけないことはある。その理由は、「自分の好みではない」、「想いが重すぎるから」、「失くした」など様々です。もし、次に身につけてなかったら、彼はどんな対応をするのだろうか想像してみてください。

自分が手作りした、この世に二つとない指輪です。その指輪の扱われ方は今後のふたりが結婚して一緒になったときに、ある問題が起こった時にも同じことが起きるかもしれません。つまり、結婚前に手作り指輪を贈るという行為は、自分が大切にしているコトやモノに対する価値観や性格を再確認する機会になるのです。

指輪は「証」の象徴とされてきたからこそ、その対応を2人がどう乗り越えるのかはひとつの試練だと思います。好きになる価値があるのか、人生を賭ける価値があるかどうかを知る一つの方法が、手作り指輪の活用法だとも言えるのではないでしょうか。