Pt999

プラチナの純度

日本では、結婚指輪はプラチナというイメージが定着しています。それだけ、ジュエリーにはプラチナを使うことが多いのです。プラチナで主に使用されるのは、【Pt850】・【Pt900】・【Pt950】・【Pt999】です。

以前のものですと、 【Pt1000】がありました。しかし、Pt1000は、プラチナ100%を意味するのですが、実際の純度は99.9%でした。それでも、ジュエリー業界では【Pt1000】と刻印されて販売されていた結婚指輪も多くありました。

ホールマーク表示の変更

 しかし、造幣局が平成24年4月以降、貴金属合金の純度を示すホールマーク表示を変更しました。その対象となったのが『Pt1000』です。実際は99.9%の純度ですから、100%純プラチナでないことは、造幣局もジュエリー業界も認識していたのですが、1%にも満たない合金です。セールスする側の意見でいえば『Pt1000』の方が何かとイメージが作りやすくて、売りやすいですからね。消費者を騙している訳ではないですが、誤解を招く原因にはなっていたはずです。

プラチナ【Pt1000】は強度が弱い、黒みがかった白色などの理由があり、Pt950・Pt900が好まれたというこがあります。

プラチナの特性は柔らかくて粘る金属です。このような特性を持っているのでジュエリーに使われるようになりました。ただ、パラジウムのような白い金属を混ぜて強度を強くした【Pt900】や【Pt950】を使っていることの方が多いです。

Pt900それともPt950

それでは、【Pt900】と【Pt950】はどちらが優れているのでしょうか?それぞれにメリットがあり、どちらも素晴らしい素材です。

ティファニーやカルティエなど、海外ブランドの結婚指輪はプラチナ【Pt950】です。「高級ブランドと同じPt950だから素材も高級だろう」と思うかもしれません。本当の理由は外国の法律で「プラチナのジュエリーはPt950以上」と決められているのです。

【Pt900】と【Pt950】の価格の違いもあります。例えば、結婚指輪のプラチナの重さは5gくらい使います。そして、【Pt950】の方が【Pt900】より少し重いです。重いとその分コストもかかりますので、Pt950の方が価格では高いのです。

さらに、流通が少ないためにキャストに時間が掛かります。とくに、納期がない人にはお勧めできません。

日本の職人は、プラチナ【Pt900】を結婚指輪に使います。それは、ジュエリーに使われる金属の中で、【Pt900】は一番トラブルが少なく、

職人にとって、作業も楽なのです。

【Pt950】のハードプラチナは、柔らかさを補うために『ルテニウム』という金属を2%くらい混ぜて硬くしています。しかし、ルテニウムを混ぜた【Pt950】は硬いので、金属を流し込むときに空気の気泡(す)が出来やすく、それが後でトラブルの元になります。空気の気泡を見つけた場合は、レーザーで修正しながら作業を進めます。空気の気泡の量も作業に大きく影響します。

ハードプラチナを使用した方が良いのは、細い結婚指輪の場合です。変形には強くなります。

修理でお預かりした2本のプラチナの指輪です。

毎日、右手の薬指に2本身につけていたそうです。以前も変形してしまったことがあるそうです。右側はPt1000の刻印があります。左側はPt900の刻印があります。ご覧の通り、Pt1000の方が変形の度合いが大きいです。

変形してもまたキレイに丸く元に戻せますので、ご安心ください。