デザインネックレスの修理

先週、手作りではないのですが、ジュエリーの修理をお預かりしました。知り合いの方からのご依頼は嬉しいものです。そのお預かりしたものの中にこのデザインネックレスがありました。ご本人さまはとても気に入っていたのですが、ご覧の通りチェーンが切れてしまって使えない状態でした。まずは、職人と打ち合わせ。ここで懸念していたのは、素材がゴールドはないということ。おそらく、合金なのかな。どちらにしても、ロウ付けやレーザー溶接 などは無理そうでした。結局、接着剤が無難かもしれないとのこと。接着でも切れた部分のチェーンだけを繋ぎ合わることはできないので、ある一定の範囲の黒 いパーツとチェーンを接着して固定するのはどうかということになりました。

工賃をどうしようか?

職人:「見た目も悪いけど、この作業は数時間の工賃はかかるけど、どうする?」

自分:「うーん…(やっぱりそういう展開になるよね)」

職人:「自分でやれば?」

自分:「えっ!…(たしかに)」


工程を写真と合わせて報告


まずは、強力接着剤の購入です。手作りには使わないアイテムなので、購入しました。瞬間接着剤ではなく、ジュエリーでは使う頻度の高いABボンドを用意しました。これは、A液とB液を混ぜることで固まるという接着剤です。

まずは、試しに切れた線同士を接着します。依頼人の方は、見た目を全く気にしないし、ここが接着されていれば構わないとかなりハードルを下げて依頼を受けていました。

線の直径は0.6㎜です。接地面も同じです。接着が乾き、完成です。ネックレスとして使用できます。

ただ、ネックレス部分がかなり余って歪んでいるのがきになります。さらに、接着部分の耐久性はどうなのか?


曲げると簡単に接着部分は離れてしまいました。これでは、失敗です。もう一度、最初からやり直しです。職人と打ち合わせした黒いパーツ同士を連結してトンネルを作り、そこにチェーンを通して穴を接着剤で埋める方法を行うことにしました。これは、アイデアがあったので期待をして行いました。


黒パーツを連結して、余分な長さのチェーンカット


このように行いことを、ご連絡を致しました。それで、OKを頂きましたので加工開始です。

しかし、この黒パーツはカットされているため、安定性が悪いのです。まずは、2つを平行に固定できるようにします。その状態で接地面に接着して乾いたら完成です。ところが…接着面積が小さくて簡単に取れてしまったのです。それなら穴の中にボンドを流そうと考えたのですが、このパーツを固定する方法が見つからなからず、困りました。またまた、もう一度考え直します。

基本に戻って、やっぱり見た目にもこだわりたいし、できることなら違和感ない修理をしたい。そこからは、このネックレスを見つめながら考えていました。ま ずは、構造を知ろうと編み直ししました。線を辿りながら、こっちに通して、あっちに通して。最初からは上手くいかなくて、何回かやり直しながら、ここまで 編み直しができました。

これだけの長さが余ったのですが、不思議と全体につっぱる箇所がないのです。最初のイメージでは、この切れた部分にあった黒いパーツが無くなって減った状態だと思っていたので、ここまでまとまるとは(笑)

あとひと踏ん張りのところまできました。この余った部分をどうしようか…

当初のように切り落とすか。それとも残すか。切り落とすならどこを切るかを考えていましたし、もう少し接着面を増やせないかとも考えていました。この状態でも、ネックレスとして使って頂くことができます。


最初からこれができないのはプロとは言えない


完成です!!よく見るとわかりますが、まずまずの出来ではないでしょうか。

これなら、安心して使って頂けると思います。


ただ、今回のこの修理費用は請求できないかなと思っています。修理はしましたがプロの技術というよりはアマチュアの技術だと自分で感じたから。時間が掛かったのは、最初からここに行くイメージができなかったからだし、接着部分も誰が見てもわかります。お代は頂けないですが、それ以上に修理している時間は楽しかったし、ここまでできて結構満足しています。これで、依頼人の方が喜んで身につけてくれたらと考えれば、純粋に嬉しい気持ちになります。

修理は熟練の職人が行います


今回のデザインネックレスの加工修理は、わたしが行いましたが、基本的にはジュエリーであれば熟練の職人が行います。もしも、ジュエリーのことでご相談がある場合には、お気軽にご相談くださいね。